第89回「令和時代の賃貸ビジネス」 ~コンサルタント沖野元の視点~ 米国の優れものの資格 ABRとは
住宅新報 2025年12月16日 号 16面

筆者は不動産業界に入って25年以上になるため、いくつかの主要な不動産系資格を取得している。宅地建物取引士はもちろん、賃貸不動産経営管理士、公認不動産コンサルティングマスターなどで、その後も2年にひとつ位のペースで主要ではないが面白そうな不動産関連の資格を取得してきた。資格の良いところは対外的に学んだことを示せるところにある。
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資格であれば何らかの試験を通過して、それについて一定の知識を得たということが対外的に示せる。また、資格を取得する過程でその分野の知識を体系的に学ぶことになるため、効率が良い。留意点としては資格で飯が食えるわけではないことにある。
直近では先月、ABR(認定バイヤーズエージェント資格)を取得した。この資格はNAR(全米リアルター協会)が公認するものである。住宅購入者側につく不動産エージェントのためのもので、現在米国では約3万5千人が受講している。
日本では一般社団法人日米不動産協力機構(JARECO)の主催で3年前からスタートしており、今年で3回目になる。講師は米国シアトルで活躍する現役不動産エージェントのマーク北林氏で、米国からオンラインでの講義であった。テキストやスライドは全て英語だが、北林氏が日本語で解説してくれるため、わかりやすかった。
参加者はオンラインのため各地から十数人程度で、不動産業者が大半を占める。全12時間の講義を受講してみて、不動産業者にとっては示唆に富む内容であったため、紹介したい。
もちろん米国と日本の不動産取引の違いはある。ただ、ABRの内容は住宅購入プロセスの各段階でいかにして不動産購入者をサポートしていくかという点に重点を置いており、我が国の不動産仲介を主とした業務を行う人たちにも役立つと思われる点が多数あった。
米国ではほとんどの州で両手取引を禁止している。したがって、エージェントは売り手か買い手のいずれかにつくことになる。買い手側についた場合は、徹底的に買い手の立場に立って考えることを求められる。ABRでは買い手の家がすぐに見つからず、時間がかかることも多いため最初のヒアリングセッションに最も時間を割くことを教えている。
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講義中に北林氏が複数回口にした「これはセールスではなくカウンセリング」という言葉が印象に残っている。お客様に特定の家を売るのではなく、アクティブリスニング(積極的傾聴)によりニーズを引き出し、お客様が買いたい家の購入をサポートするということである。
次回はABRの内容を一部紹介しながら、その背景にあるお客様第一主義について解説していきたい。
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【プロフィール】
おきの・げん 日大大学院修了。不動産コンサルタント兼不動産系研究者。不動産実務検定講師。リーシングジャパン代表取締役。執筆・講演多数。






















