古民家宿の物語 日本全国リノベーション 119 広島県竹原市「NIPPONIA HOTEL 竹原 製塩町」(下) 町全体を舞台に宿泊体験を提供
住宅新報 2025年12月2日 号 15面

旧森川家住宅には立派な門があり、この先がチェクインカウンターとなっている
期待感を高めるフロント
旧森川家住宅は、塩田の資料を展示するミニ資料館としても開かれており、ホテルイベントや企画展の会場としても活用されている。単なる〝宿のフロント〟ではなく、「まちの歴史案内人」の役割を担っているのだ。こうした背景の中、「NIPPONIA HOTEL 竹原 製塩町」は宿泊だけにとどまらず、町全体を舞台とした宿泊体験の提供を目指している。
宿泊棟へと向かう道中、白壁の町家、格子戸、石畳といった歴史的景観の中に自分が溶け込んでいくような感覚が味わえる。チェックインは一歩目に過ぎず、そこから先の町歩きや食事、文化体験すべてが「まちに泊まる」時間の一部として設計されている。単なる宿泊施設ではなく、町に新たな命を吹き込むハブとして宿に泊まり、町に触れ、記憶を持ち帰る――そんな未来志向の「旅のかたち」が、静かに広がり始めている。
地域内の連携を重視
地域の飲食店や酒蔵、農家などとの連携も進んでおり、朝食やディナーで提供される食材の多くは、地元産にこだわっている。ゲストからは「土地の味がして、記憶に残る食事だった」「料理からも竹原を知ることができた」といった反応があり、滞在そのものが〝まちの魅力〟に直結していることが伝わってくる。
旅行者から支持される価値
コロナ禍を経て「NIPPONIA HOTEL 竹原 製塩町」には、国内外から多様なゲストが訪れている。欧州をはじめ、アジアからの個人旅行者、国内では「町並み保存地区の静かな景観に癒やされたい」と願うカップルや夫婦旅、広島や尾道などの周遊観光の一環として立ち寄る層も少なくない。中には数日間連泊し、塩田や酒造りといった町の歴史にじっくり触れたいという、文化志向の高い旅行者もいる。「まるで時代を遡るようでした」「町に入り込む瞬間にスイッチが切り替わる感覚が心地いい」――そんな声が宿泊者から寄せられている。今後は、まだ活用されていない町家の再生を含め、宿泊棟の拡張の検討や新たな体験コンテンツの開発が視野に入っている。
宿=「NIPPONIA HOTEL 竹原 製塩町」
住所=広島県竹原市中央3丁目
ウリ=古い町並みの魅力を古民家に泊まることで体感できる






















