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プレミアム会員限定国が木材推進の施策強化 26年4月に「SHK制度」拡充 「弾みとなる大きな一歩」

住宅新報 2025年12月2日 号 1面

政策
  • 国が木材推進の施策強化 26年4月に「SHK制度」拡充 「弾みとなる大きな一歩」

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  • SHK制度改正で炭素貯蔵量等の報告が可能となる中高層賃貸ビルのイメージ、野村不動産「溜池山王ビル」(林野庁資料「『森の国・木の街』の実現に向けて」より抜粋)

    2 / 4SHK制度改正で炭素貯蔵量等の報告が可能となる中高層賃貸ビルのイメージ、野村不動産「溜池山王ビル」(林野庁資料「『森の国・木の街』の実現に向けて」より抜粋)

  • 26年度予定のSHK制度改正イメージ(同)

    3 / 426年度予定のSHK制度改正イメージ(同)

  • 「『森の国・木の街』づくり宣言」紹介ページより引用

    4 / 4「『森の国・木の街』づくり宣言」紹介ページより引用

存在感増す木造建築

 「SHK制度」は、「地球温暖化対策の推進に関する法律」(温対法、今週のことば)に基づき環境省と経済産業省が共同所管する制度で、二酸化炭素(CO2)を始め温室効果ガス(GHG)を一定量以上排出する事業者に、自らの排出量の算定と国への報告を義務付けると共に、その報告情報を国が公表するもの。GHG排出量情報の可視化により、事業者の自主的な削減やその気運の醸成を図る狙い。経産省が11月20日に発表した集計によると、23年度の「特定事業所排出者」は1万1933事業者で、住宅・不動産業界の主要企業もその多くが名を連ねている。

 そして26年4月にはSHK制度が改正され、木材(合法な国産材に限る、以下同じ)を使った建築物等を自ら所有する企業等が、自社のGHG排出量から、木材利用による炭素貯蔵量を差し引いて報告できるようになる予定だ。つまり事業に伴うGHG排出を、木造建築物等による環境貢献で一部控除するイメージと言える。農林水産省林野庁を事務局とするSHK制度森林小委員会が、25年8月に公表した検討の中間取りまとめに沿った制度改正で、同庁の指針に基づいて木材利用による炭素貯蔵量を算出する。

企業評価にも影響

 以前からJ-クレジット等による算定量調整の仕組みはあったものの、同庁林政部木材産業課の住宅資材班で班長を務める中村誠課長補佐(2面に関連記事)は、「木材活用がSHK制度に位置付けられるのは初めてで、(木材活用推進の)大きな一歩。事業者等が意識的に木材や木造建築を使う弾みになるのでは」と意義を語る。

 SHK制度では、報告義務違反や虚偽報告に罰則はあるものの、GHG排出量の多寡自体に直接のペナルティがあるわけではない。とはいえ、報告・公表により環境配慮の状況が可視化されることで、取引先や消費者からの企業イメージ(レピュテーションリスク)のほか、昨今の世界的な潮流を踏まえると、特に海外投資家からの資金調達への影響も想定される。

 事業領域や保有アセットの関係で相当程度のGHG排出が避けられない住宅・不動産関連事業者だけでなく、事業規模の大きな企業ほど、SHK制度により公表されるGHG排出量は抑制したいはずだ。J-クレジットの利用も一つの手段ではあるが、木造建築の公的なメリットが新たに追加されたことは、需給の双方にとって朗報と言って良いだろう。

訴求できるメリット拡大 

 SHK制度改正のポイントは、「木材を使った建築物等を自ら所有する」ことで炭素貯蔵量を差し引ける点だ。つまり、新築の木造建築物を供給する住宅・不動産事業者にとっては、施主に訴求できるメリットが増加した。特に、木造化割合の低い中高層オフィスビルや一棟賃貸マンション、低層の店舗や倉庫等への効果が期待されており、供給側にとっては提案の好機と考えられる。

 「自ら所有する建築物」が対象のため、ハウスメーカーなど供給(請負)物件を顧客に引き渡す事業者は恩恵を受けにくい面もあるが、報告義務とは別枠の「任意報告」の仕組みも用意し、木材活用推進の実績自体は可視化を図る。なお、主要構造部分に木材を使用した木造建築物に加え、炭素貯蔵量の規模は比較的少ないものの、内装の木質化や家具などでの木材利用も改正制度の対象に含まれる。

 国は今後、26年4月の改正SHK制度開始へ向け、25年度内に同法の関係省令・告示等を規定する予定。木材利用関連の項目を追加した、新たな報告様式も整備する。改正制度の対象となるのは26年度分のGHG排出量で、その報告は27年度となるため、「実際に制度が動くのは26年度後半となる」(中村課長補佐)見込み。木造建築を手掛ける、あるいは検討している事業者は、事前に意識を向けておくことが今後のビジネスチャンス拡大にもつながるはずだ。

「森の国・木の街」宣言200超

 SHK制度と法令上の直接的な関係はないものの、林野庁が25年10月に募集を開始した「『森の国・木の街』づくり宣言」も、木造建築物を始めとした木材活用の後押しを図る施策だ。同制度の改正検討を契機に設けた仕組みで、同庁は26年3月31日までの間、同宣言への参画を呼び掛けている。

 同宣言は、民間事業者や業界団体、自治体等が自主的な「木材利用」及びその「効果の可視化」への取り組みを宣言するもの。参画事業者等は同庁ウェブサイトで紹介するほか、建築物の木造化等に関するノウハウや補助金情報、イベント情報、事例集などを提供する。11月18日現在、207の主体(166企業・団体、41自治体)が宣言を行っている。

 参画企業等について、同庁林政部木材産業課企画班の保坂太郎課長補佐は、「やはり木材や林業関係の事業者が多いものの、(木材活用に取り組む)不動産ディベロッパーやハウスメーカー等も多い。加えて医療関係など、必ずしも木材利用が必須ではない事業者の参画も見られる」と状況を説明する。例えばクリニックなら、患者向けの快適な空間づくりなどで木材活用のニーズが高いと推測される。

 参画主体の数値目標等は設けていないものの、保坂課長補佐は「なるべく多くの事業者等に参画してもらいたい。現在の様子から300程度は見込めそうで、まずは500程度を目指していく」と語る。併せて、「もう少し規模が拡大すれば、参画主体向けのイベントなども考えられる。参画主体同士の交流や機運の盛り上がりにもつなげ、施主側の参画も増やしていければ」とのビジョンを描く。

 これらの制度等を推進し、将来的に「建築物の施主にとっても、意識の最初に『木』が入る社会、木造が選択肢として当たり前に並ぶ社会になってほしい」と中村課長補佐は展望を語る。従来、木材活用促進の意識や取り組みは、建築や建材関連の事業者の間にとどまってしまうという課題も指摘されてきたが、国はより幅広い対象への呼び掛けに本腰を入れている様子。住宅・不動産事業者としても、こうした国の姿勢を追い風として事業拡大を目指す好機だろう。

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