不動産学の魅力 明海大学 不動産学部 第76回 京島に息づく長屋文化 空き家活用がつなぐ人とまちの絆
住宅新報 2025年11月18日 号 7面
ゼミ活動で「遊休不動産の有効活用」をテーマに、現地調査で東京都墨田区京島を訪れた。戦時中の火災を免れた数少ない下町の一つで、昭和初期の「木造長屋」が今も多く立ち並ぶ地域である。密集した細い路地や、住民同士の声が届く距離感が残っている。
戸境壁を共有する構造の木造長屋は、低層高密居住を実現する方法として江戸時代に発達した。現存する長屋は老朽化や相続によって空き家化が進む一方で、温もりある景観や助け合いの文化が現代都市で希少な価値を持ち始めている。古い木造住宅では防火性が課題となるが、京島では「防火地域の集団防火」に取り組んでいる。
京島のまちづくりの特色は、単なる建物の再生ではなく「人と人との関係性の再生」にある。町内会や商店主、若いクリエーターが協力し、地域住民と来訪者が自然に交わる場所づくりを進めている。空き家を改修したカフェレストランやシェアアトリエ、雑貨店などが点在し、来街者を巻き込んだ新しい文化が生まれつつある。長屋独特のつながりが、まちの温かいコミュニティーを支えている。























