国交省 建築政策の方向性確認 27年春に「ビジョン」策定へ
住宅新報 2025年10月21日 号 2面
建築界の「大転換」期と認識
今回のテーマのうち、最も広範な視点によるものは、「建築分野の中長期的なあり方に関する懇談会」(座長・松村秀一神戸芸術工科大学学長)が担当していた「建築分野の中長期的ビジョン」策定に関する議論だ。具体的な内容は担い手、ストック、新技術・新材料、地球環境、街づくりとの接続など多岐にわたる。
松村座長は同懇談会の総括として、現在は建築界の「大転換」が本格化する時代であり、ストック活用への要請、少子高齢化、技術の向かう先の二極化という3要素に向き合うことが重要との認識を示した。それを踏まえ、新たに策定する「中長期的ビジョン」の論点では、ストックと担い手、建築を支える環境・仕組みの3点を今後の検討の大きな柱とすることとした。今後も同分科会や他の検討会等で詳細な議論を進め、26年1月の中間集約を経て、27年春ごろに正式な「ビジョン」を取りまとめるというスケジュールを示した。
集団規定の見直し検討
建築分野の「中長期的なあり方」検討の中でも、具体的なテーマのうち建築基準法における「集団規定」(今週のことば)の見直しについては、個別の委員会が別途議論を行ってきた。社会情勢が大きく変化する中、今後求められる市街地環境整備と整合性のある規制や誘導策へと見直していくことが主眼だ。
同委員会の検討の成果報告では、まず目指すべき市街地環境の要素を提示。その実現へ向けた方策としては、接道規制や形態規制・用途規制、景観形成等についての課題と対応の考え方を整理している。例えば、いまだ全国に多く残る狭あい道路沿道では、接道規制の柔軟な運用で、建築ストックの更新や安全の確保を広げていくための考え方などを議論してきた。今後も、論点案の追加と精査、議論を行い、26年1月に「中間取りまとめ」を作成する。
住宅分野からの要請も
具体的なテーマでは、9月末に開かれた建築物のライフサイクルアセスメント制度に関する検討会の中間集約案も紹介された。同検討会の伊香賀俊治座長(慶應義塾大学名誉教授)が、建築物の全過程におけるCO2排出量の算定・評価を図る同制度の概要と、今後着手すべき施策の方向性を説明。まずは、大規模非住宅建築物の建築主にLCCO2評価結果の届け出を求める仕組みの創設等を行うべきと述べた。
この他にも、26年3月に予定する次期住生活基本計画の検討会から、「ストック活用」「担い手確保・育成」「省エネ・LCA」への対応のため、住宅行政だけでなく建築行政の部局でも議論を行うよう要請がなされた。
意見交換では各有識者会議の委員から、今回提示された幅広い論点についてマクロ・ミクロ双方の視点から多くの指摘が挙がった。特に、「建築法制度は今後、建物単体ではなく、周囲の環境も考慮する必要がより高まる」「ZEH・ZEB等の省エネ制度は、達成率を随時確認しながら目標を定めていくべき」など、状況の変化への対応を重視する声が目立った。
今回の合同部会を踏まえ、各有識者会議は今後も結論となる成果物の作成へ向け、引き続き検討を進めていく。





























