ニュースが分かる! Q&A 宅建業の「リスキリング協議会」設立 能力向上の将来図提示を
住宅新報 2025年9月30日 号 12面
連載: ニュースが分かる!Q&A
後輩記者 9月も彼岸が明けてだいぶ過ごしやすくなってきましたね。スポーツ、味覚、読書など、今年はどんな秋となりますか?
先輩記者 10月の住生活月間を前に、業界的には〝学びの秋〟だな。宅建試験を始め、各種資格試験が始まる。流行りのリスキリングの動向にも注目だ。
後輩 社会の変化や多様化する顧客ニーズ、高度化する業務に対応するため、不動産業者にとって学び直しや自己研さんは不可欠です。国が定めるビジョンや法令等でもリスキリングに関する記述が盛り込まれています。9月には、宅建業のリスキリング推進に必要な情報共有や課題解決を考えていく協議会が立ち上がりました。
先輩 国と不動産業界6団体で構成される協議会(上図参照)だね。産業としての規模はもちろん、地域資源である不動産を利活用して、地域を元気にするポテンシャルを持つのが不動産業だ。医療、農業など地域生活に関わる他業種とタッグを組んで場づくりを進められる担い手の役割も国が評価するところだね。
後輩 業界では従業者教育及び宅建士として必要な知識・能力の維持向上が求められるようになっています。これまで各団体を主体とした研修等が行われてきたわけですが、その知見を持ち寄り、不動産業界の資質と価値の底上げにつなげるタイミングだという課題認識です。
先輩 IT重説や電子契約の定着を始め、広告・集客のデジタル化、空き家・相続・省エネ等の新課題など、宅建業を取り巻く環境の変化は著しい。日々の業務への対応も求められるが、5年後、10年後のスキルアップ、キャリアパスといった将来図がイメージしにくい業界だと、人材を巻き込んでいく力を失ってしまう。
後輩 不動産流通推進センターが今年2月に公表した調査を見ても、そもそも研修実施率が低水準であることに加え、中堅・ベテラン従業者の高度研修が社内プログラム利用に偏る状況などが確認されています。学びに費やす「人・時間」の捻出もさることながら、学びの先の姿が可視化されていないという課題もあるのかもしれませんね。
先輩 同協議会ではまず、業界全体の研修プログラムや体系化されたリスキリングの全体マップを作成すべく、業界へのアンケート調査を実施するようだね。DXを含め、例えば中小零細の従業員5人以下の地場業者が今すぐ対応すべきリスキリングという視点が1つ。また、将来の不動産業界という時間軸で議論・検討していくべき視点がありそうだ。
後輩 はい、国交省でも、進展するAI技術を不動産実務に活用していく観点からリスキリングの科目設定が必要と指摘しています。つまり、知識偏重ではなく、人間の感性や経験値、暗黙知など、見える化しづらい観点を伸ばす科目の可能性ですね。AIを操作する観点から、適切な指示の与え方を学ぶ講座といった切り口も考えられます。
先輩 いずれにせよ、学んだスキルが業界内でどのように位置づけられ、将来のキャリアパスに生かせるか整理されているのは、業界として望ましい姿だ。ベースとなる共通分野の素養を磨くプログラムもあれば、更に、相続提案や空き家活用など、特定領域に絞り込んでいく道筋を可能とする選択肢があると有用だ。
後輩 リスキリング推進に向けた議論は船出を迎えたばかり。各団体、所属企業の学びのノウハウをオープン化し、業界スタンダードの底上げにつなげる姿勢が必須となりそうです。
























