不動産取引現場での意外な誤解 売買編248 業者売主の場合の違約金は常に代金の20%?
住宅新報 2025年9月23日 号 15面
連載: 不動産取引現場での意外な誤解

Q.今回は、業法39条の「手付の額の制限等」の規定についてです。この規定では、宅建業者が売主になっている場合の手付金の額は売買代金の「20%以下」でなければならないとされていますが、それはなぜですか。
A.それは、同条2項に、その手付の性質を「解約手付」としなければならないと定めている関係上、通常、その契約を手付解除した場合にその相手方に生じる損害がその代金の「20%以下」程度に収まるであろうという過去の知見から、そのように定められたといわれています。したがって、業法38条に定められている宅建業者が売主になる場合の「損害賠償額の予定等の制限」規定においても、その予定額等の合算上限を売買代金の「20%」とし、それを超える額を定めたときは、その超える部分を無効とし(同条(2))、売買代金の一部(内金)になると解しています。
Q.業法38条の損害賠償額の予定等の制限規定は、条文をよく読むと、当事者に「債務不履行」があって契約を解除する場合の規定で、それ以外の理由で契約を解除する場合には適用はないと読めるのですが。
A.その通りです。したがって、たとえばその売買の目的物に重大な欠陥があり、買主が売主に対し売買契約を解除した上でその「契約不適合責任」を追及する場合の損害賠償額については、この規定は適用されません。宅建業者が売主になっている物件の売買契約の締結に当たっては、その点の誤解が生じないように売買契約書を点検する必要があると思います。
Q.では、そのような宅建業者が売主になる売買契約を締結する場合には、今度は業法39条との関係で手付を「解約手付」としなければなりませんので、いわゆる「手付なし契約」の締結はできなくなりますね。
A.いいえ。業法39条の規定は、あくまでも売主である宅建業者が買主から手付を「受領するときは」その額が代金の2割を超えてはならないということで(同条(1))、手付を「受領したときは」その手付を解約手付として受領しなければならないということです(同条(2))。前回と同様に、当事者(買主)が自分の意思で「手付なし契約」を締結することについてまで禁止する趣旨ではありませんので、誤解がないようにする必要があります。
渡邊不動産取引法実務研究所 代表 渡邊 秀男






















