25年基準地価 業界コメント
住宅新報 2025年9月23日 号 3面

人中心の国づくりを
吉田淳一・不動産協会理事長(三菱地所会長) 上昇基調が続いている。我が国経済の緩やかな回復が反映されたものと認識している。一方、国内外の不確実性にも留意する必要があり、今後の動向については注視が必要だ。加えて、少子化・人口減少を始めとした構造的かつ深刻な課題にも直面する中、「賃上げと投資がけん引する成長型経済」を実現するためには、今こそ政策を総動員し、競争力を一層強化すると共にWell-beingの向上等を始めとした人中心の国づくりを進めていくことが必要だ。また、国内投資を拡大させていかなければならない。
税制特例の延長に注力
坂本久・全国宅地建物取引業協会連合会会長 全宅連不動産総合研究所による最新の土地価格動向でも18期連続でプラスとなり、緩やかな景気回復局面を背景に、全国的な地価の上昇基調が継続している。一方、住宅市場では住宅価格の高騰や住宅ローン金利の上昇が消費者の住宅取得意欲への懸念として顕在化している。全宅連では26年度税制改正要望において、住宅ローン減税や本会が創設に尽力した低未利用地の活用管理に係る100万円特別控除等の各種特例措置の適用期限延長の実現に取り組んでいく。
都市政策の課題解決へ
中村裕昌・全日本不動産協会理事長 長期的スパンで将来を見据えたとき、既存のものを取り壊し、より大きな新しい建物を建てるという手法は限界を迎えつつある。都心6区を中心とした東京23区の不動産価格の異常な高騰についても収束する気配が見えず、実需層の手から完全に乖離している。持続可能な都市の再生、住宅・土地利用の最適化、多様性・包摂性の確保といった都市政策のあり方に関する諸課題について、当協会としても知見を深めながら処方を見出していきたい。
流通市場の活性化促す
遠藤靖・不動産流通経営協会理事長 東日本不動産流通機構によると、首都圏マンションの成約件数・成約価格は、共に対前年比で10カ月連続の増加・上昇だ。消費者の根強い住宅取得ニーズに影響を及ぼす今後の不動産価格や金利動向に注視する必要がある。経済を成長軌道に乗せていく上で地価の安定的な推移に加え、住宅・不動産流通市場が果たす役割は重要だ。景気の下振れリスクに十分注意しつつ、内需のけん引役として、安全・安心な不動産取引ができる市場の実現と更なる活性化に取り組んでいく。
時代の転換点に
植田俊・三井不動産社長 首都圏のオフィス空室率が低下し賃料は上昇傾向にあり、継続する住宅マーケットの好調さや、活況なインバウンド等から商業・ホテルの需要が堅調で、地価上昇に反映された。地方圏では引き続き、半導体関連企業の進出が進む地域や物流施設需要が高まる地域での地価上昇が見られる。米国の通商政策が世界経済に与える影響や、様々なリスクに留意すべき一方、日本経済は緩やかな回復が続いている。デフレから脱却し成長型経済を確実なものとしていく「時代の転換点」にいる。
金融市場の影響注視
中島篤・三菱地所社長 都市中心部や観光地での需要が底堅く、地価は全体的な上昇基調が継続している一方、関税問題や金融市場の変動が経済に与える影響については注視していく必要がある。高付加価値オフィス需要は多く、空室率の低下と賃料の上昇が継続。商業施設やホテルの需要は引き続き好調。住宅の需要も堅調だ。分譲マンション価格は上昇しているが、特に都心部では購入者層の購買力も向上しており販売は好調。一方、土地代や工事費は高止まりの傾向が続いており、今後も高値で推移するだろう。
前向きな移転、一層旺盛
仁島浩順・住友不動産社長 商業地ではインバウンド需要の増加により ホテルや商業店舗の需要も一段と拡大したほか、東京のビル市況は企業業績の回復もあり、優秀な人材確保を目的とする移転や人員増による増床などの前向きな移転が一層旺盛となり、空室率は低下傾向が継続。賃料上昇を伴う需給改善が顕著だ。住宅地は地価上昇に加え、資材費及び労務費上昇に伴う建築費上昇により住宅価格は年々高騰しているが、都心・郊外共に底堅い実需ニーズに支えられ、新築・中古取引ともに堅調に推移している。
「環境」が大テーマに
星野浩明・東急不動産社長 首都圏や大阪中心部などで住宅需要が引き続き堅調なほか、主要都市では店舗・ホテルの需要が堅調で、オフィス需要も空室率の低下や賃料の上昇傾向などで収益性が向上していることが地価上昇の背景にはある。当社は地方でも開発に力を入れている。「産業まちづくり」事業を始めるなど、地域活性化の一助となるべく積極的に拡大していく。国内外で環境への意識が高まる中、今後は「環境」が大きなテーマになるとみている。
需給バランス安定
松尾大作・野村不動産社長 住宅市場は郊外の一部で売れ行きに鈍化傾向がみられるが、トータルでは好調に推移している。土地取得が難しいことから急激に供給量が増えることはないため、当面は需要と供給のバランスは大きく崩れないだろう。オフィス市場は25年に東京での新規供給が集中するものの、中長期的には建築費増加の影響により建築工期の延期、建築工事の中断となる物件が増えてくることも予想される。供給時期が分散することで需給バランスが安定していくと見込む。
竣工半年前で8割内定
小澤克人・東京建物社長 米国の関税政策の影響や金利動向については注視する必要があるが、不動産投資市場は好調に推移している。当社が東京駅前で参画する再開発「TOFROM YAESU」についても、竣工まで約半年の時点でオフィスフロアの約8割が内定。ホテル・商業施設市場では特に関西エリアは大阪・関西万博の影響等によりホテル需要が底堅い。住宅地では交通利便性や住環境等で優位性のある立地であれば、都心部だけでなく地方都市においても地価は上昇傾向だ。
観光需要、地方に拡大
伊達美和子・森トラスト社長 東京都心のビルは引き続き空室率は低下傾向であり、賃料は上昇基調だ。地方圏は観光需要の高いエリアにおいて地価上昇トレンドが継続。需要の偏在は引き続きあるものの、地方のインバウンド増加率は三大都市圏を上回り、観光需要が地方へ拡大している様子が見て取れる。経済波及効果を地方都市にも拡張するためには、顧客ニーズに合った観光地となるべく機能の更新を進め、各地が受け皿の整備を急ぐ必要がある。






















