水嶋智国交事務次官に聞く 不動産「プロの強み」生かす 空き家活用における役割重視
住宅新報 2025年9月23日 号 3面

水嶋事務次官は、86年に運輸省(現国土交通省)入省。国交省の鉄道局長や大臣官房長などを経て、22年国土交通審議官の後に現職。「国交審を3年務めたが、事務次官になると見る範囲が飛躍的に大きくなり、(就任から)この2カ月はあっという間に過ぎたという印象だ」と振り返る。
また、「省全体を俯瞰(ふかん)する仕事自体は、これまで大臣官房長など何度か携わる機会があったので大きな違和感はないものの、やはり事務次官の重みや責任というものは、今までとはまた違うレベルでの重責を感じている。これまでの経験を礎(いしずえ)にしながら、次官としての務めを果たしていきたい」と抱負を述べた。
官民連携も重要視
不動産業界に関しては、主に空き家や空き地への対策について語った。空き家数の多さや増加率を受け、「安全上、防犯上、衛生上の観点から対策が必須であり、様々な施策を講じてきた」とし、自治体や民間の活動に対する技術的・財政的支援等により、「空き家対策を総合的に推進してきた」と述べる。
空き地についても、近年の大幅な増加に対する懸念を示し、「適切に管理されないと環境や治安の悪化を招きかねないため、対策へ向け多様な取り組みを進めてきた」とする。個別施策としては、「空き地の適正管理及び利活用に関するガイドライン」(4月公表、今週のことば)の策定等を挙げる。
そして、不動産業界への期待も強調。「空き地の流通や利活用のためには、不動産取引に関する幅広いノウハウを持つ、不動産業界の役割が非常に重要だと考えている。行政の力だけでなく、不動産事業者の皆さんの持つプロフェッショナルな強みを生かすということが非常に大事だ」と指摘する。併せて、24年6月に策定した「不動産業による空き家対策推進プログラム」による施策の本格実装も着実に進めていく構え。こうした施策により、「不動産業に関わる人々が強みを発揮し、他の関係者と連携して地域の価値を一緒になって作っていけるように、官民一体となって取り組んでいくことが非常に重要だ」と言葉に力を込めて語った。
改正法の効果にも期待
住宅分野では、老朽化マンション対策と脱炭素化の施策に言及。「2つの老い」の進行という課題の顕在化を踏まえ、5月に成立した老朽化マンション対策法の着実な施行を目指す。そして、「マンション居住者の良好な住環境を実現し、老朽化した建物の損壊等により国民が危険にさらされることもないよう、同法によりマンションの管理・再生に向けた取り組みの一層の進展を期待する」とした。
住宅・建築物の脱炭素化については、直近の取り組みとして、改正建築物省エネ法に基づき4月から新築住宅等の省エネ基準への適合が全面義務化された点を解説。更に、「遅くとも30年までには基準を引き上げ、ZEH・ZEB水準の省エネ性能確保を目指している」との同省方針も改めて示した。加えて、「24年4月から省エネ性能表示制度を開始し、消費者が省エネ性能に注目して住宅等を選択できるような環境を整備した」点にも触れ、「こうした施策を通じて、引き続き住宅・建築物の脱炭素化を進めていきたい」と意欲を見せた。


























