ニュースが分かる! Q&A 新たな〝ケアシステム〟とは 世帯単位のサポートが必要に
住宅新報 2025年7月22日 号 12面
連載: ニュースが分かる!Q&A

デスク 最近、三菱地所レジデンスが手掛けたヘルスケアコミュニティが都内の文京区目白台にオープンしたね。これまでのケア施設とどう違うの?
記者 サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)や介護付き有料老人ホーム、クリニック、東大の看護ステーション、学童保育など子供から高齢者までをケアする様々な施設が併設されているということでしょうか。敷地面積は5290m2もあります。
デスク 1600坪もあるのか。
記者 ただ、正直な感想を言うとRC造5階建ての建物1棟の中にそれらすべての施設が入っているので(延べ床面積9608m2)、「まちびらき」という印象はありませんでした。でも、周辺に住んでいる地域の人たちにとっては心強い施設が誕生したことは間違いありません。
デスク あの辺りは高級住宅地だよね。
記者 地下鉄有楽町線の護国寺駅から歩いて6分ほどでしょうか。東京大学医学部付属病院分院があった場所ですが、なんでも明治41年からの歴史があるそうです。跡地に最初に完成したのは、東大の学生などが入居する「目白台インターナショナルビレッジ」(19年竣工)で、今回のヘルスケアコミュニティはその西隣ですが、もともと空き地だったようです。
デスク 東大の所有地ということが今回の施設づくりにも大きな影響を与えたようだね。
記者 はい。東京大学が定期借地権での開発事業者を募集して三菱地所と三菱地所レジデンスが選ばれました。その最大のコンセプトは、東京大学の「グローバル ナーシング リサーチセンター」(GNRC)を核とした産学融合による新しいヘルスケアコミュニティを目指していることです。
デスク そのGNRCというのは?
記者 東大医学系研究科付属の機関で、国際的な活動やネットワークを活用して、世界の看護研究のリーダーを育成しています。日本初のポスドク専門の看護研究センターとしても知られています。ポスドクとは「ポストドクター」の意味で、博士号を取得した後に、任期付きで研究活動を行う研究者のことです。
デスク そのGNRCが今回の目白台でどういう役割を果たすのかな。
記者 GNRCにとって、「コミュニティ」は最も中心的な研究課題ですから、研究者たちにとっては地域の人々と直接触れ合うことで、一人ひとりのニーズを把握し、そのニーズに応えるための新しいケアシステムの構築を目指しています。「幸福社会を実現するプロジェクト」として今回の目白台キャンパスが位置付けられています。
デスク 新しいケアシステムって、具体的にはどういうこと?
記者 GNRCセンター長の山本則子教授は会見で、こう答えていました。「例えばですが、保険外にはなりますが、従来の個人単位ではなく、世帯単位の月額料金制看護サービスです」と。親の介護をしながら仕事をしているビジネスケアラーが増えていますが、そうした親子を支えていくためには家族まるごとサポートしていく発想が必要だということです。
デスク 確かに新しいサポートシステムだね。
記者 分かりやすく言うと、「家族のかかりつけ看護師」がいることになります。家族まるごとなので、そこに赤ちゃんや小さな子供がいればその看護も含まれます。
デスク ところでそういう〝新たなケア時代〟に不動産業界としては何ができるのだろうか。
記者 そうですね。まずはサ高住の整備と変革ではないでしょうか。驚いたのですが、今回のまちびらきでオープンした「クイーンヒル目白台」(全80戸)は、文京区初のサ高住となりました。サ高住はまだまだ足りないようです。25年6月末時点で全国は約29万戸に達しましたが、毎年の伸び率は鈍化してきています。高齢者が今後増える東京都ですら425棟・1万8000室しかありません。しかもそのレベルは玉石混交と言っていいでしょう。量的確保も必要ですが、同時に様々な関連施設との連携や、地域に開かれた環境整備など質的改革が求められていると思います。






















