管理のあり方見直す契機に 国交省が標準管理規約の改正に着手
住宅新報 2025年7月22日 号 1面
老朽化マンション対策法は、高経年マンションにおける「2つの老い」への対策として、集会決議の要件緩和や適正管理の促進策、より柔軟なマンション再生の手法などを盛り込んだ改正法で、施行は原則26年4月。同改正法では、標準管理規約の改正も行うこととされており、国交省は6月27日に「令和7年マンション関係法改正等に伴うマンション標準管理規約の見直しに関する検討会」(座長・齊藤広子横浜市立大学教授)を立ち上げ、議論に着手した段階だ。
同省住宅局の杉田雅嗣参事官(マンション・賃貸住宅担当)は、「今回の法改正内容の中でも、同検討会の主題である『標準管理規約の改正』は、管理組合にとっても非常に重要な意味のある、改正の中核的な部分と考えている。加えて、法改正の内容以外にも、社会情勢の変化を踏まえて必要と考えられる規定を、この機に一から洗い出して、標準管理規約上に盛り込んでいきたい」と語る。更に、標準管理規約の改正内容を既存のマンション管理規約にも反映されるよう促すことも含めて、同省として力を入れていく考えを強く示す。
同検討会は今後、9月上旬までに計3回の会合を開き、検討内容を集約した上でパブリックコメント(意見公募)を実施する計画。そして9月末を目安に、改正版の標準管理規約を公表する予定だ。同改正法の施行までに約半年の期間を設け、十分な周知・普及を図っていく狙いがある。
「なりすまし」抑止の項目も
同検討会の初会合で提示された主な論点は、区分所有法改正を踏まえた「総会決議における多数決要件の見直し」を始め、新設の「国内管理人制度の活用に係る手続き」「所在等不明区分所有者の総会決議等からの除外手続き」「マンションに特化した財産管理制度の活用に係る手続き」など。国会審議で争点となっていた「共用部分等に係る損害賠償請求権の代理行使」についても、条項の新設も含めて対応する。更に、区分所有法の規定に合わせ、「区分所有者の責務」に関する条文を見直す。
同改正法だけでなく、杉田参事官が言及したように、社会情勢を踏まえた見直し項目も複数盛り込まれている。目を引くのは、「管理組合役員等の本人確認」。大規模修繕の検討の際、工事施工会社の従業員が管理組合役員になりすまして出席し、自社の工事に誘導するという事案が実際に発生しており、そうしたケースの抑止を図る狙いがある。とはいえ、個別事案を受けた対策ということもあり、標準管理規約に盛り込むことの妥当性や内容等については慎重な議論が想定される。
管理業者管理者方式にも対応
併せて、区分所有者以外の者が管理者に就任する「外部管理者方式」のうち、マンション管理業者による「管理業者管理者方式」への対応も大きなポイントとなっている。現行の標準管理規約は、管理業者管理者方式の採用を想定していないため、その場合の管理者の権限等について「標準管理規約に当てはめる例示の必要性」(同省)がある。そこで、標準管理規約を土台として、管理業者管理者方式に対応した「書き換え表」を新たに作成、公表する方針だ。
この「書き換え表」については、標準管理規約自体の見直しを議題とする同検討会と並行し、6月30日に別途「令和7年マンション管理法改正を受けたマンション標準管理者事務委託契約書の策定等に関する検討会」を設置し、議論を行っている。加えて、こちらの検討会では、管理業者管理者方式に対応した契約書のひな型となる「マンション標準管理者事務委託契約書」を新たに作成し、管理組合と管理業者との契約に用いる「マンション標準管理委託契約書」も改正して、それぞれ11月に公表する予定だ。
齊藤座長 「目指す未来描くことが大事」
大幅な法改正を踏まえ、同検討会における個別の検討項目も多岐にわたっている。同時に、今回の標準管理規約改正は、記載内容の変更という意味合いにとどまらず、マンション管理への向き合い方を見直す契機ともなりそうだ。
齊藤座長に話を聞いたところ、同検討会で提示された論点や会合での意見、そしてマンション管理を取り巻く環境の変化等も踏まえ、「標準管理規約は、もちろんこれまでも重要だったが、今後一層重要な存在になっていく」と語った。続けて、「管理規約は法改正に基づく変更だけでなく、色々な個性を持つマンションがそれぞれに更なる内容の上乗せを行うことも可能。今回の標準管理規約見直しに伴い、個々のマンションが『未来に向かってどうしていきたいか』を考えて、どのような規約をつくるのかが大事なポイントだ」と言葉に力を込めた。
問われる管理の「標準」
同時に、「何をもって『標準』とするか」という点も、慎重な検討が求められると言う。マンションの持つ特徴や状況、課題等は、個別の物件により異なる。どのような規約を、国が「標準」として示すべきか、という俯瞰(ふかん)的な視点も欠かせない。齊藤座長によると、同検討会の初会合では主に項目の整理や確認を行った段階であり、「次回以降は、本格的に激しい議論が交わされるだろう」と意気込む。
加えて齊藤座長は、「新たな標準管理規約がどのような内容であれ、活用する主体の管理組合に届かなければ、その役割は果たせない。そのために、(同検討会の議論を踏まえた)標準管理規約改正案の提示は9月を見込んでおり、改正法施行まで相応の期間を設けている」と強調。併せて「標準管理規約は、あくまでも『標準』。そのマンションに合った形にアレンジ、カスタマイズする必要がある。そういった面でも、現在は、マンション管理のあり方が次のステージへ向かっている段階だと感じる」と述べた。





























