ニュースが分かる! Q&A 日米不動産協力機構が総会 米不動産事情、ローン返済2倍に
住宅新報 2025年7月8日 号 12面
連載: ニュースが分かる!Q&A
記者 6月26日の日米不動産協力機構(JARECO)の総会に全米リアルター協会(NAR)のケビン・シアーズ会長が来日しました。コロナ前の2017年以来2度目ですね。日米ともインフレ社会で、不動産価格高騰という同じ悩みを抱えています。
機構 シアーズ会長は米国の現状を語り、「この2~3年は米国の不動産業界にとって転換期になっている」と言っていましたね。日本でもマンションなどの住宅価格が高騰していますが、米国も同様で住宅価格が高騰して消費者が購入できなくなっているようです。中古住宅の売買件数については、通常500万~550万件だったものが、この2~3年は400万件前後に落ち込んでマーケットはタイトになっています。一方で、価格はコロナの時期から50%以上跳ね上がりました。
記者 やはりインフレ経済下と金利高が大きく影響しているのでしょうね。
機構 そうですね。金利水準は今が最も高く、とりわけ住宅ローン金利の上昇が住宅の売買に影響しています。金利は7%弱の高水準。住宅価格は記録的な高騰に加えて、金利高でローン返済額が増えています。全米平均で見ると、21年までの返済月額は平均1000ドルでしたが、金利が上がった分、今は月額2000ドルと倍増しています。
米国の不動産エージェントは、金利を引き下げ消費者が購入しやすい環境を整備する必要があると訴えています。 ただ、FRBはインフレ率で利下げを判断します。トランプ政権の高関税政策により、じわじわと米国内の物価高が進む半面、底堅い雇用環境を受け、いつ引き下げられるのか見通しづらい。
ただし言えることは、インフレが抑制され、利下げに転じれば住宅ローンの金利も低下に向かい不動産取引は活発化するでしょう。
記者 確かに、そうした環境になれば、米国の人口が増えているので住宅を買い求める人が増えそうですが、価格の高止まりは懸念材料です。
機構 過去5年間で全ての州で価格は上がり、最も上昇している州では1.7倍となり、低い州でも3割増し。ちなみにケビン会長のお膝元であるマサチューセッツ州は1.53倍と言ってましたね。
記者 そんな米国市場での不動産投資機会をどう見ればよいでしょうか。
機構 NARのチーフエコノミストであるローレンス・ユン氏は、「数年前まで増えていた着工案件がここにきて竣工を迎えて需給は緩んでいる。基本的に戸数の少ない小ぶりなアパートが多いのが特徴だ。ただ足元の着工減を受けて物件が再び絞られて需給が引き締まってくるので、今買って将来売却すればキャピタルゲインが得られるかも」と言っていましたね(笑)。
記者 米国の就労人口数は右肩上がりです。
機構 コロナ前と比べて就労人口は約700万人分増えて、これは住宅を購入する後押しになる数字だと言えますね。仕事があるのは住宅購入のポテンシャルも上がるということです。今は住宅ローン金利が高いので条件が整っていませんが、利下げ局面を迎えれば住宅販売件数が押し上げられる可能性はあります。
記者 米国の商業用不動産の状況はどうでしょうか。
機構 カリフォルニア州のオフィスは供給過多の状況です。コロナ以降、リモートワークが定着して借り手が乏しく空室が増えて結構な割安感で購入できる状況です。ただ、雇用はアパートやホテルなどの需要を促進させています。
記者 米国不動産市場をどのように観測しますか。
機構 (トランプ・ショックによる)米国リセッション(不況)懸念はリーマン・ショックとは違います。差し押さえがそもそも見られず住宅ローン滞納者の比率は世界金融危機時に10%近くまで上がりましたが、今は1%台にとどまっています。不良債権化する率は低い。住宅販売は年内に底入れし、潜在的な需要の高さから価格が下落に転じる要素は見当たりません。
























