ニュースが分かる! Q&A 企業の「熱中症対策」が義務に 対策不十分ならば罰則科す
住宅新報 2025年6月24日 号 24面
連載: ニュースが分かる!Q&A

友人A テレビのニュースで、「泳げない子どもたちが増加している」と報道していた。クロール泳法で25メートル以上泳げる小学校6年生の数は、19年は男女共に7割を超えていたが、23年には、男女共に5割前後に急減したそうだ。
友人B 最近の教育現場では、命を守る水泳の授業であっても〝厳しい指導〟ができなくなったからだろうか。
A そうではないらしい。コロナ禍の影響や、多忙な教員の働き方改革の一環で、水泳の授業が少なくなっている点が大きいようだ。プール施設の老朽化から民間事業者に委託し、授業時間の確保が難しい事情もある。更には近年は〝猛暑日〟が続くために、水泳の授業自体が中止されるケースが少なくないそうだ。
B 我々の子供時代に比べると、地球温暖化の影響から夏の暑さの厳しさが増している。昔の教室では、団扇ならぬ文房具の下敷きで涼を取った風景がなつかしい。
A 文部科学省は6月3日に事務連絡として、各都道府県の主管課に対し、「教育・保育施設等におけるプール活動・水遊びの事故防止及び熱中症事故の防止について」を通知した。そのうち熱中症事故の対策では、環境の整備や、各種活動の実施に際しての適切な判断、子供に対する声掛けなど、必要な措置を講じるように求めた。
B 我々のような大人も、熱中症には十分に気を付けなければならない。
A 6月1日からは、一定の条件を満たす場合に、各職場での熱中症対策が法的に義務化された。個々人や組織、企業として、十分に配慮をしなければならなくなった。
B いよいよ、熱中症対策が義務化されたのか。
A 労働安全衛生法第22条第2号は、「事業者は高温による労働者の健康障害を防止するために必要な措置を講じる義務がある」と規定されている。ただ、熱中症を要因とする労働災害では、対応の遅れなどが散見されていた。そこで今回、早期発見や重篤化を防ぐ対応を事業者に義務化するため、労働安全衛生規則の一部改正省令が6月1日にスタートした。条件を満たす企業は広く対象となる。対策を怠ると罰則として、「6カ月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金」が科されてしまう厳しい義務となっている。
B しっかりと対策をしない企業には、罰則までも科される可能性があるのか。
A 厚生労働省がまとめたパンフレットを見ると、職場の熱中症による死亡災害は22年と23年の2年連続で屋外と屋内を合わせ、30人レベルで推移した。熱中症で死亡災害までに至る割合は、ほかの災害に比べ、5倍から6倍もあるそうだ。死亡者の7割は屋外作業者が占めている。気候変動の影響で今後も更なる増加が懸念されている。これまでの死亡者のほとんどは、初期症状の放置や対応の遅れが原因だったという。職場で死亡に至らせない(重篤化させない)ための適切な対策の実施が必要、と強調している。
B 屋外作業が多い建設や警備、更に製造や運送現場でも夏場は相当な暑さになる。
A 熱中症対策が義務化される作業の条件は、気温や湿度、輻射熱(照り返しなど)を考慮して算出し、より人体が感じる暑さに近いというWBGT(暑さ指数)で28度以上または気温31度以上の環境下にあり、連続1時間以上または1日4時間を超えて実施が見込まれる場合となる。作業は屋外や屋内でも、業種や職種も問わない。外回りの営業職でも対象となるようだ。
B ほとんどの建設現場では対象になりそうだな。営業職も含むとすれば、全ての企業で対策が必須だ。
A 厚労省は対策の基本的な考え方として、おかしな様子を「見つける」、医療機関への搬送などを「判断する」、救急車到着までの全身の急速冷却などの「対処する」の3つの観点を示している。熱中症の自覚症状がある作業や、熱中症のおそれがある作業者を見つけた人は、その旨を「報告するための体制の整備」と、「関係作業者への周知」、重篤化を防止するために必要な措置の「実施手順の作成」を義務化した。
B 人事や労務担当者、また、現場管理者は、義務化の対象となる作業の有無を確認してリスクを評価するのに加え、従業員への日々の注意喚起が重要になりそうだな。






















