不動産取引現場での意外な誤解 賃貸編235 借地で増改築禁止特約がなければ増改築は自由?
住宅新報 2025年6月17日 号 11面
連載: 不動産取引現場での意外な誤解

Q.旧借地法時代から続く借地契約には増改築禁止特約が定められていないものもあるそうですが、このような土地は増改築が自由にできますか。
A.原則的には自由にできます。その借地上の建物は借地人の「所有物」だからです。なぜそのような増改築禁止特約がない契約が今もあるのか、詳細は当事者でなければ分かりませんが、おそらく親族や恩のある人といった親しい人同士の賃貸借だったためでしょう。中には当初は資材置場などが目的で土地を貸していたものが、代が替わり、いつの間にか、それを管理する建物が建ち、それが住宅に変わったといったケースも考えられます。したがって、そうした土地のほとんどは法定更新されて今日に至ると思います。
Q.その旧借地法時代からの借地契約とは、いつ頃までに契約された借地をいうのでしょうか。また、それが法定更新されるとどうなるのでしょうか。
A.旧借地法時代からの借地というのは、平成4年7月31日までに締結された借地のことです。この旧借地法時代からの借地が「法定更新」された場合には、その法定更新後の存続期間は「堅固建物」の場合は30年、「非堅固建物」の場合は更新後20年となり、かつ、この期間を経過しなくても、建物が「朽廃」したときは借地権が消滅するとされています。これを「朽廃理論」といいます(旧借地法2条(1)ただし書、5条(1)後段、6条(1)後段)。
Q.しかし、前回(第234回)、建物の「朽廃」は、裁判所もかなり厳格に判断しているようでした。
A.その通りです。建物の所有権と共に、借地権という重大な権利が消滅するわけですから、裁判所としてもかなり慎重に判断しているのだと思います。
そのような考え方からすると、本件のように「法定更新」された借地権の存続期間とは、木造住宅の場合「20年」ということになります。そうなると、借地人としても度々「改築」などを行い、その建物をほとんど新築同様にしてしまうといったこともあると思います。そこで、そのために、先述した「朽廃理論」により、改築を行わなければ「朽廃すべかりし時期」に借地契約が終了し、借地権が消滅するとしているのだと思います(最判昭和42年9月21日)。
渡邊不動産取引法実務研究所 代表 渡邊 秀男






















