ニュースが分かる! Q&A 「森林・林業白書」 木造中高層を紹介 事例拡大、法改正も後押しか
住宅新報 2025年6月10日 号 12面
連載: ニュースが分かる!Q&A

業者 それでは、これまでのお話の通り、構造にも内装にも、可能な限り木材を使用した「木造6階建て住・商複合ビル」という方向でプランを作成いたします。
施主 うん、よろしく頼むよ。どうせ建てるなら、国産木材をできるだけ大量に使った建物にしたいと以前から考えていたんだ。しかし、「木造ビル」なんて無理だろうと最初は思っていたけれど、今の技術ではできるのだね。
業者 そうなんです。最近は、4階建て以上の木造中高層建築物も増えてきているのですよ。確かに、技術の発達は大きな要因で、木造耐火の部材や工法の水準が上がっているほか、CLT(直交集成材)やLVL(単板積層材)など、強度と品質の高い構造材の開発が進んだことなどの影響が考えられますね。
施主 少し調べてみたけれど、国内の主要なディベロッパーやハウスメーカーでは結構前から、「木造ビル」を積極的に手掛ける動きが広がっているそうだね。
業者 そうですね。例えば住友林業が、2041年に高さ350メートルの木造超高層建築物を実現するという「W350計画」を発表したのが18年のことですし、「木造ビル」自体はそれほど新しいテーマではありません。ただ、中高層ビルの建築事例が目に見えて増えてきたのは、やはり最近のことだと思いますよ。先日の6月3日に公表された林野庁の「24年度森林・林業白書」でも、トピックスの一つとして「中高層建築物等における木造の広がり」のページを設けているくらいですから。
施主 利用者からの需要が高まっているのだろうか。
業者 もちろん、オフィスビルやマンションでも建物は木造であってほしい、というニーズは一定程度あると思います。ただ、足下の木造建築物の拡大には、国の政策の影響も大いにあるようです。
施主 国の方針か。
業者 そうなんです。背景としては、「2050年カーボンニュートラル」を始めとする脱炭素化方針の一環という面が強いですね。併せて、災害対策や国土保全、生物多様性、地域経済活性化などの目的から、国内林業の持続化を図るため、木材の積極的な活用を促すという狙いもあります。法律としては、2010年には「公共建築物等の木材利用促進法」が施行されていましたが、21年に民間建築物にも木造化を拡大する法改正が行われ、「都市(まち)の木造化推進法」と名称を改めて同年に施行されました。この法改正による影響が、ここ1~2年で形となってきているのではないか、と個人的には感じています。
施主 具体的には?
業者 この法律では、国または地方自治体と民間事業者が、「建築物木材利用促進協定」を締結できる制度が創設されました。この協定締結事業者に対して、行政が必要な支援を行うことで、一般建築物での木材利用を広げようという話です。今回の「森林・林業白書」によると、24年12月時点の協定締結実績は、国とは25件、地方自治体とは146件。同年までに木造化・木質化された建築物は2817件で、「協定に基づく木造建築物は全国で増加している」と評していますね。加えて、中高層に限らず低層の建築物でも、木造の割合の低いオフィスや店舗等を木造化する動きが見られます。
施主 自治体と協定を結ぶということは、地域産材を積極的に使うということだろうな。応援したいね。
業者 林業のことも考えれば、やはり国産材の活用が重要ですからね。同白書のデータでは、木材自給率は「近年で最も高い43%まで回復」したそうです。特に、建築用材は5割を超えているとか。ただし、「枠組壁工法構造用製材」の国産材率は上昇傾向にあるものの、梁(はり)や桁(けた)などの「横架材」では依然として輸入材のシェアが高いようで、林野庁は「国産材による高強度の異樹種LVL梁の開発」等を推進していくとしています。
施主 良いね。ぜひ行政も事業者も、国産木材の活用に尽力してもらいたいものだ。
業者 ところで、どうしてそこまで国産木材を推してらっしゃるんですか。
施主 ふむ。建築用木材と言えば、何の木が多いかね。
業者 代表格というなら、スギでしょうね……あっ。
施主 年々、花粉症が悪化しているものでね。






















