ニュースが分かる! Q&A 先が見えない介護事業 超長寿時代の生き方は自立?
住宅新報 2025年6月3日 号 12面
連載: ニュースが分かる!Q&A

先輩記者 東急不動産ホールディングスグループが介護離職防止に向けたイベントを開催したみたいだけど、仕事と介護の両立が本当に深刻な課題になってきたよね。
後輩記者 「2025年問題」と盛んに言われてきたように、団塊世代の全てが後期高齢者(75歳以上)入りをしました。
今年4月に施行された「改正育児・介護休業法」では、働きながら介護に向き合う社員が介護離職に追い込まれないように雇用環境の整備が求められています。
先輩 それはいいことだけど、やはり要介護度が重くなると、最後は施設に入らなければならなくなる。超高齢社会を迎えている日本で今、介護施設やそこでの介護の実態などがどうなっているのかも気になるよね。特に首都圏では大量の〝介護難民〟が発生するとも言われているしね……。
後輩 要介護度が重くなる85歳以上人口は35年まで急増します。その後20年間は横ばいですが、55年からは再び急増します。それに対して高齢者向け住宅の供給目標を国は高齢者人口の4%に設定しています。しかも現時点では約3%しかなく、4%の達成は30年を目標としています。
先輩 なるほど。では東京都の達成率はどれくらいだろうか。
後輩 有料老人ホームとサ高住の供給数を都道府県別に見ると、4%以上に達しているのは大阪府(4.08%)と大分県(4.24%)だけで、東京都は2.77%です(24年度調査)。埼玉県2.87%、千葉県2.56%、神奈川県3.21%です。
先輩 全然足りないね。
後輩 それに今、4%に達しているからいいということではなく、高齢者人口は増え続けますから、なにもしなければ下がっていきます。4%では足りません。年齢別の要介護認定率を見ても85歳~89歳では男性が28.1%で女性は42.2%、90歳~94歳では男性が46.4%で女性は64.5%です。
先輩 ほとんどの高齢者は要介護になっても自宅にいるしかないことになるね。これでは介護離職が増えるはずだよ。
後輩 自宅で介護してもらえれば、介護されるほうは、それはそれで理想のかたちかもしれません。なぜなら、東京都の調査によれば「介護が必要になっても現在の住宅に住み続けたい」と回答した人は48.94%いましたし、各自治体のアンケートを集約すると〝自宅志向〟が5~7割に達します。
先輩 問題はいかに訪問介護でカバーできるかだね。
後輩 そうだと思います。家族が介護離職しないですむようにするためには、訪問介護によるサービスを充実させることが必要ですが、問題はそのための介護人材が不足している点です。もちろん、有料老人ホームや特養などの特定施設で働く人材も足りません。
先輩 介護職に就く人を増やすにはその人たちの給与を上げるしかないよね。
後輩 そうなのですが、日本では介護保険制度に基づいて、介護事業者が受け取る報酬を国が決めていますから、この介護報酬が大きく上がらない限り、事業者側も職員の給料を大幅に上げることができません。介護報酬を上げるためには、国や自治体の財政から追加支出が必要になりますが、国や自治体の財政難を考えると難しいですね。
先輩 何か手立てはないのかな。
後輩 人材不足を解消するには外国人の労働力に頼るしかありません。最近、話を聞いた介護住宅事業(サ高住、有料老人ホーム)を経営している会社はインドからの人材採用に力を入れているようです
先輩 これからの高齢者にできることは、ずっと自立して要介護にならないことぐらいかな。
後輩 そうありたいものですが。22年の簡易生命表によると、男性が75歳まで生存する割合は75.3%、85歳までは54.0%です。半分以上の男性は85歳まで生きる時代が既に来ています。女性は85歳までの生存率は75.2%ですが、90歳でも49.8%です。23年には50.1%とついに5割を超えました。今や女性は2人に1人が90歳まで生きる時代です。お互いに健康で頑張るしかありません。
先輩 そうだね……。






















