不動産取引現場での意外な誤解 賃貸編233 借地契約では約定違反の建築物も建てられる?
住宅新報 2025年6月3日 号 11面
連載: 不動産取引現場での意外な誤解

Q.前回は、借地権付分譲マンションの地代の滞納問題でしたが、最近は新たな借地契約の締結があまりなく、土地の賃貸借についての知識が希薄になりそうです。
A.確かに新たな土地の賃貸借はあまり聞きませんが、今日でも旧借地法時代からの土地の賃貸借は続いているので、知識が希薄になっては困ります。先日も当事務所に次のような問い合わせがありました。
「昔からの借地契約で、その用途が「木造住宅」となっている場合には、その建築できる建物は旧借地法でいう「非堅固建物」であるから、最近の工法である「鉄骨系」の建物は契約違反になるのではないか」というものです。
結論的には、「鉄骨系プレハブ」は堅固建物ではなく、非堅固建物とされていますので(東京地判昭和52年10月31日)、契約違反にはなりませんが、例えば、鉄骨を柱にして門口を広くとったり、3階建の建物の1階部分の建物の壁を鉄筋コンクリート造にしたりすると、全体としての耐久性が著しく増しますので、問題となる可能性はあります(東京地判平成18年6月30日)。
Q.鉄骨系プレハブは非堅固建物ですが、鉄骨・鉄筋コンクリート造になると、堅固建物になるのですね。
A.その通りです(東京地判平成18年6月30日)。したがって、どうしても「堅固建物」に用途変更をしたいというのであれば、あとは借地借家法17条の借地条件の変更の申立てを裁判所にするしかありません。
Q.それは、具体的にどのような条件が整えば可能になるのでしょうか。
A.一概には言えませんが、要は、当事者の借地契約で決めた契約内容(借地条件)を裁判所が変更するということですから、裁判所としても、それを変えるだけの説得力のある合理的な根拠が必要となります。
その1つが、それを変えるための前提となる社会的な変化、すなわち土地利用に関する法令改正や周辺土地の開発、高度利用などの建築環境の変化、あるいは借地人の土地利用に対する社会的・経済的なニーズの変化などがその判断の要因になってくると思います。もちろん、そのためには裁判所が借地人に対し、一定の財産上の給付を命じるなどの条件を付することもあります(借地借家法17条(3))。
渡邊不動産取引法実務研究所 代表 渡邊 秀男






















