GW特集インバウンド最前線 外国人仲介 活況呈する高級不動産 都心、リゾートなどに熱視線 商機待ったなし 問われる真価
住宅新報 2025年5月6日 号 12面
アットホームの景況感調査(2024年10~12月)によると、賃貸、売買共に不動産仲介業の景況感を下支えしているのが「拡大する外国人需要」と分析する。賃貸仲介では「外国人の来店数や問い合わせ、契約数が増えた」など、地場業者が顧客の増加を実感すると共に、売買では、価格高騰により国内実需層の購入が厳しくなる中、外国人の購入意欲が際立つという。
リスト、「高級」取扱高1000億円を突破
実際に売買仲介の取引状況を見てみると、リストインターナショナルリアルティ(北見尚之社長)では、高級不動産を手掛ける東京オフィスの24年の不動産取扱高が1023億円となった。20年実績の165億円から5年で6倍以上に増加し、1000億円の大台を突破した。
好調な高級不動産仲介事業を支える要因の一つがインバウンド需要だ。同社では、円安要因に加え、麻布台ヒルズ等のシンボリック開発に対する海外からの評価が高く、継続的な増加が挙げられる点を指摘。「都心3区の高騰に伴い、湾岸エリアも新築時から竣工時のセカンダリー価格が2倍となり、広域で売買価格が上昇している」とも言い、再開発を控える東京を始め、ニセコ・軽井沢等のリゾートエリアの不動産価格も上昇しており、高単価の取引は引き続き増加傾向にあると見る。
ケン・コーポ、専門の売買仲介部門を創設
高級不動産事業のパイオニアとして知られるケン・コーポレーション(中川堅悟社長)は昨年12月、同社仲介部門の外国部内に、外国人向けの不動産売買仲介サービスを専門に取り扱う部門を創設した。構想から5年。アジアを中心としたインバウンド需要の高まりの中で、「日本の不動産市場では特に高級物件に対する海外富裕層の関心が高まっている」(同社)と分析。長年、同社が外資系企業社員や経営者向けの高級賃貸仲介事業を中心に培ってきた経験とスキルを始め、スポット的に行ってきた外国人向け売買仲介の実績を生かす狙いだ。
賃貸仲介及び売買取引の経験豊富な専任スタッフを配置し、外国人顧客が日本国内で不動産を購入する際に、よりスムーズで安心な取引を支える。同スタッフが物件の選定から契約に至るまで、専門的なアドバイスや法的手続き、文化的な違いに関するサポートを提供する。
同社によると、主力の高級賃貸仲介では、港・渋谷・千代田・目黒の各区を中心に、大手外資企業の日本への赴任者や、各国大使館の大使を含む職員などの取引を展開してきた。新たに立ち上げた売買仲介部門でもターゲット層が重なる部分があるとし、「居住用・投資用を問わずに、幅広く外国人向けの売買仲介を行っていく」とする。物件価格は2億円以上を想定。都心の物件を中心としながらも、「顧客のリクエストによって、エリアも幅広く対応していきたい」と意気込んでいる。
GTN、「万博」出展の滞在者支援を好機に
賃貸現場でも外国人入居の受け入れムードが高まっているようだ。アットホームラボ執行役員データマーケティング部長の磐前淳子氏は、「今春の繁忙期からも事業者側からポジティブな印象を受けた」と説明。裕福な留学生の増加や日本で暮らす先輩外国人が世話をする状況などに触れ、「支払いリスクを不安視すべきではない。和室など日本らしい住居を望む場合もあり、空室の入居促進が期待される。頑なに拒否することは商機損失のリスクになる」と分析。賃貸オーナーの理解促進など、不動産会社が取るべき行動に期待を寄せる。
外国人の賃貸入居を支援するグローバルトラストネットワークス(GTN、後藤裕幸社長)は、コロナ禍が明け、電子契約の普及を始め、高額賃貸に暮らす留学生や日本に移住する超富裕層など近年の外国人入居者の特徴に着目。制度変更・緩和を背景に、給与水準の高い正社員労働者が急増していく中で、賃貸入居の対象者として外国人入居を強化していく利点を説く。
同社は現在開催中の大阪・関西万博へのサポートを強化中だ。約半年に渡り日本に滞在する出展国の関係者に対し、包括的な生活サポートを提供するためのもの。具体的には(1)23カ国語に対応したネーティブスピーカーによる生活サポート、(2)外国人専用の電話番号付きSIMカードによるスムーズな通信環境の提供、(3)住居サービス(GTNが管理する短期滞在可能な外国人専用マンスリーマンション)の提供――となる。個別利用に加え、ニーズに応じたパッケージ提供にも対応する。
日本の不動産市場に海外からの目が向けられるタイミングを一過性とせず、日本の文化理解や顧客接点づくりの好機とできるか注目したい。

























