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スタンダード会員限定ついに4割超える単身世帯 新たな価値創出で明暗 賃貸住宅業界は正念場に

住宅新報 2025年2月4日 号 1面

総合
  • ついに4割超える単身世帯 新たな価値創出で明暗 賃貸住宅業界は正念場に

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  • ついに4割超える単身世帯 新たな価値創出で明暗 賃貸住宅業界は正念場に

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 単身世帯の増加で最も懸念されるのが、高齢者の単身化だ。社人研の推計では現在、世帯主が65歳以上でそのうち単独世帯の比率は37.4%、10年後の35年には41.7%となる。東京都は現在45.2%で10年後には48.9%と約半数に達する。認知症発症率が高まる85歳以上の単身世帯数は30年には225万世帯(人)となり、20年比で54%も増加する。

 高齢者の入居支援を行っている会社、あんど(千葉県船橋市)の代表を務める西澤希和子氏は、「25年後の50年には高齢者と障害を持つ人たちが全人口の過半数に達する。住宅弱者に対する支援は地域に根を張る不動産会社にとって欠かせない業務となってくる。ここに来て居住支援という言葉が急速に市民権を得るようになったように感じる」と話し、その背景を次のように分析する。

 「高齢者の入居を敬遠するオーナーや不動産事業者は相変わらず多いが、身寄りのない高齢者にとって住むところがないのは死活問題。その一方で、今後も人口減少が続くため、今のままでは空き家は増える一方。この双方の問題を解決するには、高齢者の入居を拒むのをやめ、いずれは部屋で亡くなることも想定した上で、孤独死や残置物の処理などの問題を解決していくしかないということに、業界が気付き始めたのだと思う」

多様化する単身

 単身化社会の課題は高齢者の独居問題にとどまらない。今後はあらゆる世代に渡って一人暮らし世帯が増える。晩婚化、生涯未婚者、離婚などが増える傾向にあるからだ。司法書士で終活コンサルタントの太田垣章子氏は「日本はこれから〝1億総お一人様時代〟に突入する」と警告する。一人暮らしだけでなく、たとえ夫婦で暮らしていても相手が認知症になってしまうと、その瞬間から〝お一人様〟と同じ状況に置かれるからだ。核家族社会では独立した子供が親の近くに住んでいるとは限らない。

 全世帯の半数近くを単身世帯が占めるようになると、その多くが居住形態として選ぶことになりそうな賃貸住宅の社会的役割が増し、そのあり方にも大きな変化が生まれそうだ。既に入居者同士のコミュニティを重視した物件が増え、住人が共同で管理・運営を行うコレクティブハウスや、シェアハウスに似ているが各住戸がプライベート空間としてしっかり確保されているソーシャルアパートメントなどが注目を集めている。

高まる社会性

 ソーシャルアパートメントを20年前から手掛けているグローバルエージェンツ(東京都渋谷区)は現在、首都圏を中心に約50カ所を運営している。平均入居率は96%で、ほぼ満室稼働が続く。同社の特徴は企画から設計、入居者案内、運営までを一貫して手掛けていることだ。

 同社広報担当者は、「以前はこうした居住形態を面白いと思って選ぶ人が多かったが、コロナ以降は、普通の人が一人暮らしするためのアパートを選ぶ時の選択肢として検討するようになってきた」と話す。つまり、特殊な存在ではなくなっているということだ。

 更に、入居の理由にも変化が見え始めている。「『入居者同士の交流がしたい』という積極的なコミュニケーションを求めているというよりも、『日常生活の中であいさつをしたり、ちょっとした会話をする人がいると安心感があるから』という声をよく聞くようになった」(広報担当者)というように、ライフスタイルも価値観も異なる単身世帯同士だからこそ、日頃の何気ない会話が大きな意味を持つようになってきたということだ。

 大手ディベロッパーでも賃貸住宅の可能性を探る動きが広まっている。野村不動産は昨年11月、〝新たな一人暮らしを提案する〟賃貸住宅「コリビング賃貸レジデンス」事業を始めると発表した。シェア型賃貸住宅とコワーキングスペースが融合した住宅で、専属の運営スタッフによるコミュニティ運営付き。同社では、コロナ後のワークスタイルの急速な変化、都心部の家賃高騰等が進む中、20~30代を中心とした単身世帯の「ひとり暮らし」に向けて、従来の賃貸住宅・シェアハウスではかなわなかった新たな価値を提供していくことを目指すという。

 三菱地所レジデンスも賃貸マンションシリーズ「ザ・パークハビオ」を中心に、限れた居住空間を自分らしく暮らすための提案「ルーモット」を進めている(4面参照)。

分譲各社も熱い視線 顧客の声を商品企画に反映

 単身世帯の多世代化が住まいにもたらす影響は賃貸市場にとどまらない。日鉄興和不動産の単身者向けマンション「リビオレゾン」シリーズが好調なように、一人暮らしでも豊かなマンションライフを楽しみたいというニーズは旺盛だからだ。主な購入者は30~40代の独身者だが、配偶者に先立たれ一人暮らしとなった高齢者が戸建て住宅から転居するケースも増えている。

 そうした背景もあってか、高齢者向けサービスが受けられるシニア向け分譲マンションが昨今は人気となっている。フージャースコーポレーション(東京都千代田区)は現在、首都圏を中心に16棟のシニア向け分譲マンション「デュオセーヌ」シリーズを展開しており、順調な売れ行きとなっている。有料老人ホームのような利用権方式ではなく、相続も可能な資産として取得できるところが人気の要因のようだ。

 単身世帯の増加が分譲市場に与える影響について、野村不動産が記者向けに開いたスモールミーティングに参加した担当者は、「商品企画をどうするかにつきる。顧客の声を聞きながら企画に生かす。単身だからといって狭い住戸を望むとは限らない。家事の省力化も求められるだろう。そうしたサービス面での提供も必要」と話す。また、マンションコンサルティングのトータルブレインの杉原禎之副社長は「もともとマンションは(戸建て住宅よりも)コンパクトな住まいとしてスタートしたものであり、ディベロッパーは(単身向けのような)限られた面積で快適な住まいをつくることは得意なはず。今後は本来の得意分野を生かすことができるのではないか」との見方を示す。

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 人口が減り単身世帯が増える今後の日本にとって、住まいが持つ社会的役割が大きく変わることは確実だ。賃貸、分譲に関わらず隣人との何気ないあいさつ、一人暮らしの不安を解消する様々なサービスが求められることになる。

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