不動産取引現場での意外な誤解 賃貸編226 借主の希望による自己負担での設備の交換は?
住宅新報 2025年1月28日 号 11面
連載: 不動産取引現場での意外な誤解

Q.建物賃貸借契約を締結し、入居後間もなく厨房やエアコンなどの設備が故障した場合、借主が代償として、新しい設備への取り替えを要求してきたときは、貸主はその要求に応えなければならないのでしょうか。
A.建物賃貸借契約締結の際の当該設備の状況や説明の仕方、内容によると思います。
たとえば、その建物が新築だったり、新築同様にリフォームしたにもかかわらず、旧式の設備が取り付けられていたり、広告の内容と異なる中古のものがそのまま取り付けられていたといった場合には、新しいものに取り替える必要があると思いますが、その建物が中古のもので、その設備もそれ相応の年数が経過したものであるときは、その設備に関する重要事項説明の際に、それが新しいものであるかのような説明をしていない限り、新しいものに取り替える義務はありません。
Q.中古の建物賃貸借契約を締結する際に、「付帯設備」として、単に「給湯器」とか「エアコン」などと記載している場合には、その設備が建物の経過年数と相応のものであれば、すぐに故障したとしても、その設備を修理するだけで、新しいものに取り替える義務はないということですね。
A.基本的にはその通りです。ただし、問題は、それ相応の年数が経った設備であっても、それが正常に作動している限りはそのまま使えますが、本件の場合は、入居後まもなくして故障したということですから、その設備自体に過去にも同様のトラブルがあったことも考えられますので、事実確認をした上で、場合によっては修理をするより交換した方が無難ともいえるのではないでしょうか。
Q.このようなケースで、借主が自分で費用を出すので、自分好みの最新のものに取り替えたいと言ってきたときは、どうしたらよいでしょうか。
A.それは、貸主いかんによりますが、できることならそれが特別仕様のものである場合には断った方がよいと思います。なぜならば、そのような特別仕様の設備は、個性が強いものが多く、次の入居者がそれを使いこなせるのかという問題もありますし、他の入居者との関係やメンテナンスなどの管理コストとの関係もありますので、安易に認めるべきではないと思うからです。
渡邊不動産取引法実務研究所 代表 渡邊 秀男






















