地球沸騰! 大手デベ 環境対策けん引役 117の再エネ発電所を展開 都心に国内最大の木造ビル 存続に黄信号 新春特集
住宅新報 2025年1月7日 号 21面
東急不動産の事業所及び開発した保有施設は全て、再生可能エネルギー由来の電力のみを使用していることで知られる。2022年に204施設で、使用電力の100%再エネへの切り替えを完了させた。その後、1年間の利用実績を積み、24年にはRE100を達成した。
サステナビリティ推進部の松本恵部長によると「当初の目標達成期限は50年だったが、その後25年に前倒しすることを決めた」とのことで、更に1年早く達成できたことになる。
RE100とは、事業活動に必要なエネルギーの100%を再生可能エネルギー電力で賄うことを目指す、国際的イニシアティブだ。加盟企業には遅くとも50年までにその達成が課される。イギリスに本拠地を置くNPO団体クライメイトグループによって14年に設立され、事務局は同グループと国際的な環境NGOのCDPが担う。
24年12月時点でアップルやマイクロソフト、メタ、グーグル、イケア、ネスレ、ユニリーバ、H&M、レゴ、BMWなどのグローバル企業435社が名を連ね、うち89社が日本企業だ。
東急不動産は事務局による正式な審査を経て24年4月、国内事業会社として初めてRE100達成が認定された。24年12月時点で、国内の達成企業は同社を含め3社だけ(世界で40社)。同社の電力100%再エネ使用(約3億キロワット時/年)は、CO2の排出量を年間約13万トン削減することになり、これは一般家庭約6万9000世帯分の排出量に相当するという。
加盟企業の中でもいち早く達成できた理由は何か。実は東急不動産は、自前の再エネ発電所を全国各地に所有しているのだ。14年から再エネ事業に参入し、太陽光発電所、風力発電所、バイオマス発電所を「ReENE(リエネ)」ブランドで展開している。
松本部長は「本業の宅地開発と、地方での太陽光の大規模土地開発にはもともと親和性があった。その頃、社としても事業の根幹に環境を明確に打ち出したため、2つの開発事業が合致した。今ほど再エネが注目されていなかったが、重視される時代が来るだろうと読んでの参入だった」と当時を振り返る。
24年11月末時点で、北海道から九州まで太陽光発電98カ所、風力発電14カ所、バイオマス発電5カ所の計117カ所(開発中も含む)の発電施設を展開し、定格容量1844メガワットの事業規模に成長した。「およそ原発2基分の再エネ創出力を持っていることになる。総額2400億円を投資し、25年度までに2.1ギガワットを目指す」(松本部長)。
発電と農業を両立
同社の再エネ事業は、脱炭素の実現だけに留まらず、地域活性化などさまざまな取り組みにも特色がある。その一つが営農型太陽光発電だ。パネルを高位置に設置して下の土地を農地とし、発電と農業生産を両立させる試みだ。
平坦な土地が少ない日本では、太陽光発電に適した土地は限られているが、都市部近郊の平地には多くの農地がある。農業を続けながら発電事業に取り組むことで、太陽光発電の可能性が広がることに加え、発電による収益は後継者不足が深刻な農業を活性化する糸口になると同社は見ている。
22年12月から「リエネソーラーファーム東松山太陽光発電所」で、営農型を展開・普及するための効率的な開発と運営手法の研究や、最適な発電量確保・農作物・栽培方法の検証などを行っている。
更に「発電事業地に、地域課題の解決や活性化を目的とした施設『TENOHA(テノハ)』を設け、実証見学施設や学生・企業の学びの場としての機能を備えながら、地域交流促進や産官学連携の促進、農業と再エネなどをテーマに、地域共生に取り組んでいる」(松本部長)。
リエネブランドは、固定価格買取(FIT)制度事業に留まらず、コーポレートPPA等、非FIT分野での他社への再エネ電力供給も開始している。
三井不動産は開発物件に積極的に木材を使用してきた。「主に装飾やフローリング、オブジェなどだが、グループ会社、三井ホームの中層木造マンション『モクシオン』には構造材としても使用している。今後も用途を増やしたい。薄くスライスして、壁紙として商品化できないかなどを検討している」(山内浩徳サステナビリティ推進部上席統括)。
これらの木材の多くは、全て自前のものだ。三井不動産は実は、北海道の森の会社でもある。道内に所有する森林は31市町村にまたがり、総面積は約5000ヘクタール。これは北海道の森林総面積約560万ヘクタールの100分の1ほどで、東京ドーム1063個分に相当する。
同社では、この森林資源を保全するプロジェクトを「未来に続く終わらない森創り」と名付け、毎年9万~10万本の苗木を「植える」、下刈りや間伐など定期的なメンテナンスで適切に「育てる」、伐採適齢期を迎えた木や間伐材を「使う」というサイクルに取り組んでいる。
この森林が、年間2万1315トンのCO2を吸収・固定する。これは一般家庭7400世帯分の年間排出量に相当するという。山内統括は更に「水資源の保全、風水害の極小化、林業の活性化など多角的な意味合いを持つ」と指摘する。
用途の多様化が課題
「使う」の部分でこれまで、低中層マンション以外の構造材使用はなかった(できなかった)が、ついにこの壁を破る開発に着手した。高さ84メートル、地上18階建ての木造賃貸オフィスの建設が今、日本橋で進んでいる。もちろん木造ビルとしては国内最大・最高層となる。26年9月に竣工する。
ビルディング事業1部の木越尚之統括は「終わらない森創りのサイクルの中で『使う』ことが大きな課題だった。主力事業の一つであるオフィスビル事業で、貢献できないものかと考えたのが発端」と開発の経緯を説明する。
それにしても、木で高層ビルを建てることに不安はなかったのか。「設計施工者の竹中工務店が開発した3時間耐火集成材の『燃エンウッド』やCLTを用いた耐震壁・制震壁の導入で克服」(木越統括)できたという。
建築基準法では、建物の階数に応じて耐火性能が定められており、3時間耐火の「燃エンウッド」が開発されたことで、階数に制限なく建物に木構造を採用できるようになった。これまで不可能だった15階以上の木造ビルを可能にした。CLTとは、ひき板(ラミナ)の繊維方向を直交するように積層した木質系材料である。
木越統括は「建築時に鉄骨構造と比較して、CO2排出量を約30%削減できる。ビル周辺の緑化にも力を注ぎ、生物多様化に配慮していく。内装・仕上げ材にも積極的に活用し、木の与えるやすらぎ、ぬくもりを感じさせる造りにしたい」と強調する。
現在、三井不動産は東京大学大学院の恒次祐子教授とともに、木質空間が身体にどのような影響を与えるかを科学的に証明する実証研究を進めている。


























