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プレミアム会員限定不動産取引現場での意外な誤解 売買編230 遺言による贈与(遺贈)には対抗要件が必要?

住宅新報 2024年12月10日 号 15面

連載: 不動産取引現場での意外な誤解

総合
不動産取引現場での意外な誤解 売買編230 遺言による贈与(遺贈)には対抗要件が必要?

Q.前々回〔売買編228回〕、遺言書に「相続させる」と記載がある場合には、その結果取得することとなる権利については、それを第三者に対抗するための「登記」は必要ないとありました(最高裁判例)。これはどういうことですか。

A.これは、「相続させる」という遺言の趣旨が「遺産分割方法の指定」であるから(最判平成3年4月19日)、その受遺者である相続人は、相続開始(被相続人の死亡)と同時に遺言で特定された不動産の所有権を取得することになります。そうすると、その登記上の手続においても、その受遺者(相続人)は単独で「相続」による所有権移転登記を申請することができます(不登法63条(3))。この単独で登記申請ができるということは、遺産分割協議によって「相続人」となった場合と同じですから(同法63条(2))、この場合の「相続させる」という遺言による権利取得者が第三者に対抗するための登記についても同様に、具備する必要はないとしているのです(最判平成14年6月10日)。

Q.「相続させる」という遺言がある場合の登記上の対応は分かりました。受遺者が相続人でない一般的な「遺贈」の場合、その登記原因はどういうことになるのでしょうか。

A.その点については、包括遺贈(相続財産の割合による贈与)、特定遺贈(特定された相続財産の贈与)ともに「遺贈」となります。

Q.では、受遺者が相続人でない一般的な遺贈の場合には、第三者対抗要件としての「登記」が必要になるということでしょうか。

A.はい。「遺贈」の効果は、包括遺贈の場合は相続開始と同時に権利移転の効果が生じ(民法990条)、特定遺贈の場合においても、「特定物遺贈」については相続開始と同時に権利移転の効果が生じるというのが判例・通説です(大判昭和13年2月223日)。

 しかし、第三者対抗要件としての「登記」の具備については、判例は、「特定物遺贈」については遺贈も「意思表示」によって物権変動が生じるので、遺贈による権利取得を第三者に対抗するには登記を具備する必要があり(最判39年3月6日、昭和46年11月16日)、「包括遺贈」についても同様に登記を必要としています(東京高判昭和34年10月27日、東京地判平成9年8月20日)。

渡邊不動産取引法実務研究所 代表 渡邊 秀男

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