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プレミアム会員限定不動産取引現場での意外な誤解 売買編229 「遺言」は法律の規定に優先するのか?

住宅新報 2024年12月3日 号 17面

連載: 不動産取引現場での意外な誤解

総合
不動産取引現場での意外な誤解 売買編229 「遺言」は法律の規定に優先するのか?

Q.前回、遺言書に「相続させる」という記載がある場合、それは「遺産分割方法の指定」だから、原則としてそれと異なる遺産分割協議はできないと書いてありました(最高裁判例)。しかし、遺言で「相続分の指定」をした場合にはどういうことになるのでしょうか。

A.遺言による「相続分の指定」というのは、通常、相続財産を分数的割合によって示す割合的指定が一般的です。被相続人は、このような方法で遺言で「法定相続分」とは異なる割合を定めることができます(民法902条)。

 しかし、「相続分の指定」それ自体は、各相続人に対し、具体的な権利を取得させるものではなく、相続人が遺産分割協議を行うことによって具体化される必要があります。そのため、個別の相続人に特別受益(民法903条)や寄与分(民法904条の2)などの適用がある場合には、それによって修正がされ、その結果算出された具体的な相続分に従って遺産の配分が行われることになります。ということは、「遺言」が常に法律の規定に優先するということではなく、そのための典型的な例が、遺言の内容が「遺留分」の規定(民法1042条、1043条)に違反していた場合には、民法の規定によって侵害額請求がされるということです(民法1046条)。

Q.「遺留分」とはどういうものなのでしょうか。

A.遺留分とは、一定の相続人に保障される相続財産の一定割合のことです。その理由は、例えば被相続人が生前に相続財産のすべてを第三者に贈与してしまったり、法定相続人の中の1人にその全部を遺贈してしまったりした場合には、他の法定相続人の権利が著しく侵害されることになります。そこで、そのような場合に対応すべく、一定の相続人に対して最低限の相続権を確保しようとする制度が遺留分の制度です。

Q.「一定の相続人」や「一定の割合」とはどういったことを指すのでしょうか。

A.一定の相続人というのは、その「遺留分」を有する相続人のことで、具体的には、兄弟姉妹を除く、(1)配偶者、(2)子、(3)直系尊属です(民法1042条)。そしてその遺留分の割合は、(1)直系尊属のみが相続人のときは全財産の3分の1、(2)その他の場合は全財産の2分の1とされています(民法1042条)。

渡邊不動産取引法実務研究所 代表 渡邊 秀男

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