インタビュー・コンセプトマンション 現代のIT版〝トキワ荘〟を展開
住宅新報 2024年10月29日 号 8面
――IT人材に限定。
「当社グループのサービス提供先の各社から、DXに取り組むものの、システムに詳しいIT人材や実践するDX人材の不足感の声を聞く。そうした相談は、資材高騰など厳しい状況下で単純な家賃増額が難しい不動産会社が比較的多い。そこで、グループの強みを生かしたIT人材の活躍の場と機会の支援を通じ、高付加価値化も図れる不動産物件の融合を構想した」
――高付加価値化を。
「ハード面で最新設備を投入しても、コストが掛かり、いずれは陳腐化する。人口減少の激しい地方圏は投入効果も限定的になる。そこで住みやすさと利益性を担保するソフト面の強化に着目した。都市部で就業しているITエンジニアが入居し、副業や兼業で地方圏で活躍できる機会を提供する。それが〝入居する価値〟を高めるビジネスモデルとなる。関係人口の増加で地方経済にも寄与する」
――入居する価値に。
「入居する価値が向上すれば、家賃アップに期待ができ、資産価値も高まる。当社では現在、シェアハウスと賃貸住宅の中間的な建物形態で、恵比寿や目黒などの東京都内や新潟で計6棟を展開している。入居者が地方圏の企業や自治体に出張し、またはオンラインでIT化を支援している。不動産会社が運営するSNSやHPの改善策などをアドバイスし、支払う家賃以上の報酬を得ている入居者もいる」
――入居者に報酬を。
「そもそも地方圏は、都心部に比べてIT領域の仕事が少ない。高額な給与になりがちなIT人材の雇用も難しい。都市部のIT企業で現役で働く入居者が最新情報を吸収して最先端技術に磨きを掛け、地方圏のIT化に貢献する。現代のIT版〝トキワ荘〟として、入居者同士が共用ラウンジに集う。就業先や地方圏での活動の情報を交換する。学び、刺激を受け合い、新しいビジネスも創出できる」
――新しいビジネスを。
「入居OBともつながり続け、実際に共同創業や起業した入居者が生まれている。当社物件は単身者向けのため地方圏出身が多く、地方創生の貢献の志向が比較的に強い。様々な体験が自身の成長につながると感じている。ITサービス提供会社と異なり、当社や入居者は特定のツールを販売営業せず、地方企業や自治体の普段使いの既存システムをなるべく活用してもらう支援策を提供している」
――今あるシステムを。
「実は自身が委嘱された北九州市産業経済局DX推進・企業誘致アドバイザーの活動で地方圏の課題を聞いたことが、今回のコンセプトマンションでの取り組みの端緒にある。高額な資金投入ではなく、アイデアの勝負で地方圏を活性化する。現状のレベル感に合わせてIT化やDX化を促進するために安心して相談ができると、支援先の企業や自治体に評価されている」
――アイデアの勝負。
「当社で展開中の各物件は開発後、客付けして投資家向けに1棟販売し、当社がサブリースで運営・管理している。同様なコンセプトで物件の開発を企画したいとして相談を寄せている地方圏の企業にアドバイスや連携も図っていく。IT人材は、日本の〝血液〟だと考えている。身体の隅々にまで行き渡って循環すれば、健康を維持できる。当社と入居者の連携により、地方創生のパートナーの役割を果たしていきたい」
























