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スタンダード会員限定古民家宿の物語 日本全国リノベーション 78 秋田県男鹿市「古民家宿ににぎ」(上) Uターンして地域の伝統を守り再生へ

住宅新報 2024年10月15日 号 13面

連載: 古民家宿の物語 日本全国リノベーション

総合
古民家宿の物語 日本全国リノベーション 78 秋田県男鹿市「古民家宿ににぎ」(上) Uターンして地域の伝統を守り再生へ

雪国の重厚な建物

 海沿いの幹線道路から 内陸に入り、森を抜けると、広々とした田畑の風景が目の前に広がる。その一角にたたずむのが、今回の宿だ。宿の代表、猿田真さんの曾祖父が1952(昭和27)年に建てたこの建物は、72年の歳月を経てなお健在である。

 玄関を入ると正面にはカフェスペースがあり、右手の廊下を進むと宿泊者用の部屋につながる。2つの畳部屋が襖で仕切られたこの宿は、1~2組限定の宿泊施設となっており、合計15畳の広さと高い天井、周囲の廊下によって広々とした空間を演出する。 古民家活用の夢を育てる

 猿田さんは高校卒業後に上京し、学業や就職を経て04年に秋田へUターンした。当初は漠然と古民家を活用する起業を夢見ていたが、帰郷後すぐには実現に至らず、まずは介護職に就いた。「古民家をそのまま放置しておくのはもったいない」という思いが徐々に募り、やがてそれが宿としての形に結実した。「帰郷後、事業開始までには時間が必要だった」と振り返る。

 Uターンのきっかけは、猿田さんの母親が60歳を迎えた頃、地元の知人を通じて「そろそろ戻ってきてはどうか」と勧められたことだった。27歳の時、9年間も地元を離れていた猿田さんは、紹介された介護の仕事を「一つの経験」として受け入れ、現地に根付くことを決意した。介護事務職に従事し、その後不動産や住宅関連の仕事に合計8年間携わったが、その間も「自分で生業を持ちたい」という思いが次第に強まっていった。

交流拠点を目指す

 猿田さんは「もっと地域とのつながりが必要」と感じると同時に、外部の人達との交流出来る場も必要だと考えていた。「当時、地方創生や移住促進に関する事業は皆無で、移住者にとっては厳しい状況だった」と振り返る。そのような中で、外からの訪問者が集う場として宿を開業することを目指すようになった。

 しかし、家族の反対や子供の誕生などもあり、宿の開業はいったん延期された。まずはカフェの開業からスタートすることで家族の理解を得た。12年にその第一歩が踏み出されたのである。

宿=「古民家宿ににぎ」

住所=秋田県男鹿市北浦真山塞ノ神下

ウリ=男鹿のなまはげ館に近く、素朴な自然が楽しめる

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