ニュースが分かる! Q&A 28年3月期からリース会計基準改正 サブリース事業など影響か
住宅新報 2024年10月8日 号 12面
連載: ニュースが分かる!Q&A

友人A 日本の企業会計基準委員会(ASBJ)は9月13日に、「リースに関する会計基準」「同・適用指針」を公表した(以下・新リース会計基準)。国際会計基準審議会(IASB)の国際財務報告基準(IFRS)と整合させて、日本の基準を〝世界基準〟に合わせる目的がある。
友人B 新リース会計基準は、27年4月以降(28年3月期)の事業年度から適用が始まる。結論を端的に言えば、従来のオペレーティングリースの会計処理が変わる。貸し手には経理処理の影響は小さいと思われるが、借り手側の従来のリース取引の「賃貸借処理」の扱いが変わる。今後は、貸借対照表上にリースを「資産」や「負債」で計上する「売買処理」が求められる。
A 従来のリース取引は、期間中に途中解約ができず、関連費用を含めて、ほぼ全てをリース料で支払う「ファイナンスリース」と、これ以外を「オペレーティングリース」に分類してきた。ファイナンスリースは売買とほぼ同類な取引だから今後も売買処理をする。
B 今回の新リース会計基準では、リースの借り手が貸借対照表の資産側に「使用権資産」を、支払い義務を負債側に「リース負債」で計上(オンバランス)する。国際基準に合わせ、リースの会計処理の透明性を高めて、企業の財務状況をより正確に把握できる。国際基準と異なる会計処理では、国際的な投資が広がる現代で、投資の判断に影響がある。国際基準や米国の会計基準(FASB)とのギャップを埋めるために、日本基準は改正が必須でもあった。ただ、会計処理が複雑化して、煩雑さは増しそうだ。
A 中小企業では、「中小企業の会計に関する指針」「同・基本要領」の会計処理に基づくようだ。新リース会計基準の対象は、上場企業とその子会社の大手企業が中心だろうから、会計処理以外では影響が小さいのか。
B 実は、話はそう単純ではないようだ。例えば、多店舗や多拠点で事業展開する大手企業、商業施設やホテルなど大規模施設のリースの場合に、今後のオンバランス化に伴う会計処理の作業自体の負担感が増すだけではない。オンバランス化をすれば、例えば、使用権資産とリース負債が増えるため、総資産が増える。これによって、自己資本比率(自己資本/総資産)が低下する。ROA(総資産利益率=当期純利益/総資産)までも悪化しかねず、株価の低下を招く恐れがある。
A 従来、資産を〝持たない経営〟(オフバランス)が注目されてきたが、これからは注意が必要になるな。
B 従来のオペレーティングリース取引が今後は、貸借対照表上に資産や負債で計上される。企業は投資家や金融機関からの資金調達に影響するため、財務を健全に見せたいはず。今後は、オンバランス化するリース料(家賃)に関し、テナント企業側が「減額」を求める交渉の場面が出てくる可能性がある。大手企業がテナントで入居している中小ビルが家賃減額の交渉を受けるかもしれない。家賃減額の影響は、管理業務の委託料を介して、不動産管理会社にも及ぶ可能性もある。
A 家賃だけではなく、管理業務委託料の減額交渉も増えるのかもしれないのか。
B 更に言えば、不動産会社が貸し手となっているセール・アンド・リースバック事業や、不動産会社が借り手であり貸し手でもあるサブリース事業にも影響を及ぼしていくかもしれない。サブリース事業者は、これまでは、オーナーへの支払い賃料を費用に、入居者からの賃料を収益として損益計算書に計上し、貸借対照表には計上しないオフバランス(簿外)を行ってきた。今後はオンバランス化によって、使用権資産やリース負債を貸借対照表上に計上する。
A 今回の新リース会計基準は、会計処理の作業自体の負担は小さくても、貸し手である不動産業界にも影響を及ぼすかもれしれないな。
B 不動産会社としては、例えば、家賃の減額交渉に備えて、双方が納得できるような、客観的で適正な賃料相場の情報データなどの資料を今から用意したほうがいいのかもしれない。これまでの貸し手と借り手の間で育んできた信頼関係の悪化にもつながりかねない事態が出てくる。






















