対談 スマサポ・東京大学 生活情報データを集積 不動産はプラットフォーム
住宅新報 2024年9月10日 号 8面
――アドバイザーに就任。
柳川 「不動産業界は、最新テクノロジーの活用面で相当に〝伸びしろ〟があると感じている。不動産ビジネスでの活用としては、2つの観点がある。自動化による業務の低コスト化の実現や、一層きめ細やかなサービスで新たな顧客体験価値を提供できる」
――新たな価値の提供。
柳川 「もう1つの観点は不動産業の今後の在り方自体を見直すきっかけになる。不動産の〝場〟では日々、暮らしや働くなど、様々な社会活動が営まれる。不動産自体がデータ収集・活用の〝プラットフォーム〟になる。活用する人数や回数、動きを解析すれば、新たな発見を得て、新しいビジネスを生み出せる」
――不動産が軸になる。
小田 「日本全体を見渡すと、人手不足が主要都市や地方圏でも深刻化している。現実問題として、不動産管理業務で入居者の困りごとに対応しきれない事態が発生しかねない。従来のマンパワーに依存していては、限界がある。その課題解消策で当社では、不動産会社と入居者がストレスなく、円滑にコミュニケーションできるよう、入居者アプリを提供している。実は、そこには匿名の形で、日々の困りごとの内容や傾向など精度の高い〝生活情報データ〟が蓄積されてきている」
――生活情報のデータ。
柳川 「ビッグデータとして集積をすれば、非常に貴重な資産になる。産業の枠組みさえも超え、色々な形で活用ができる。従来の不動産業界ではそうした考え方や取り組みが比較的に希薄だった。その中心軸に暮らしや働く、遊びの多様な要素を持つ不動産がある。どのようなデータが求められ、どのように活用すればいいのか、といった観点の発想を広げる必要がある」
新たなビジネス生み出す
――発想を広げていく。
小田 「当社提供のアプリでは、毎月2700件程度の困りごとなどのやり取りがある。従来は書面に残してもデータ化はされず、個々の企業内で情報が閉じられ、活用できていなかった。これらの事象を地域や季節ごとなどの傾向で解析をすれば、ビジネスに、更に社会発展に生かせると考えた。東京大学連携研究機構不動産イノベーション研究センター(CREI)センター長(機構長)でもある柳川教授の協力でその研究や知見を得ることで、新しさを生み出せると考えた」
――新しさを生み出す。
柳川 「これまでの自身の幅広い産業界との議論から、産業全体の活性化のための新たな取り組みにアドバイスや貢献ができると考えた。データを集積して連携し、活用する。蓄積データを基に利便性の向上や価値の創出につなげる。そうしたテーマは新たな研究対象になり、学生たちの教育にも生かせる。優れた人材を不動産業界に輩出できるようになると期待している」
――価値の創出を。
小田 「基幹産業の不動産業界が衰退すれば、日本の将来に大きく影響する。より豊かな暮らし、不動産業、ひいては産業全体のために柳川教授と協力していく。入居者に日々寄り添うのは不動産会社であり、例えば、経験知や感覚知ではなく、蓄積データを解析する。入居者からの相談の内容や傾向を時期ごとにつかみ、事前に推察できる仕組みを当社が提供する。全国の不動産会社が入居者からの問い合わせを受ける前に、先手を打った対応が可能になる。そうした取り組みが新しいビジネスにつながると考える」

























