「令和時代の賃貸ビジネス」 ~コンサルタント沖野元の視点~ 第56回 シアトル滞在記(2) 独自の集客戦略とホームステージング
住宅新報 2024年8月27日 号 12面

前回に続き米国シアトルでの経験を共有したい。
筆者が滞在したのはシアトルのトップ1%エージェントであるタンさんのお宅である。タンさんは3人家族で奥様と中学生の男のお子さんがいる。滞在中タンさんご家族にはとても親切にしていただいた。滞在の目的は米国不動産エージェントの働き方や米国不動産業の仕組みを学ぶものである。タンさんの働き方を身近で見ることができ、単なる研修では得られない貴重な経験を得ることができた。
到着した翌日にはタンさんが受託したコンドミニアムのオープンハウスがあり、同行させてもらった。約135m2、2LDKの既存住宅である。オートロック、駐車場2台付き、エレベーター付きの5階(最上階)でショッピングエリアが近く立地の良い物件だとわかる。現地に着くとすでに他のエージェントがお客を連れて待っていてすぐに内見が始まった。室内は暮らすイメージがしやすいようにセンス良くホームステージングされていた。シアトルはホームステージング発祥の地である。ステージングのためにオーナーの提供した家具がいくつかあり、最終的にはホームステージャーが飾り付けをして物件の良さを引き出していた。写真映えするものでドアを開けた瞬間に惹きつけるものがあり、テンションが上がるステージングは見事というほかない。既存住宅を売却する際にステージングが効果的という代表例を見たようなものだった。
オープンハウスは午後の3時間だけ行われたが、その間に10人の来場があったのでかなり注目された物件だとわかる。最終的にいくつかの条件の良いオファーが入り、ほどなくして売却が決まった。この物件の売主は台湾人でタンさんのYouTubeを見て問い合わせをしてきたという。タンさんは自身のYouTubeチャンネルを持っており、チャンネル登録者は4千人を超える。そのチャンネルでは中国語でシアトルの不動産マーケット情報や物件情報を発信している。
タンさんによると米国に移住してくる中国人の間でシアトルの人気が高まっているとのことである。タンさんはもちろん英語も堪能だが、あえて中国語で発信しているところはニッチを狙った戦略なのであろう。タンさんのオフィスに伺うと一角が撮影スタジオのようになっていた。YouTubeはタンさんの見込客を得る一つの重要なツールであることがわかった。
翌日には実際にホームインスペクションしているところを見る機会があった。これについては次回に譲りたい。
このシアトル滞在記は本稿で終える予定だったが、他にも得たものが多く共有したいのでもう少しお付き合いいただきたい。
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【プロフィール】
おきの げん 日大大学院修了。不動産コンサルタント兼不動産系研究者。不動産実務検定講師。リーシングジャパン代表取締役。執筆・講演多数。






















