不動産取引現場での意外な誤解 売買編217 「真正な登記名義の回復」登記は有効な登記か?
住宅新報 2024年6月25日 号 11面
連載: 不動産取引現場での意外な誤解

Q.不動産の仕事を長く行っていると、稀に所有者の名義が「真正な登記名義の回復」という登記原因で元に戻っている(元の名義人に移転している)ケースがあります。このような登記は有効なのでしょうか。
A.本来は、実体上の権利変動がない登記なので無効なのですが(通謀虚偽表示=民法94条(1)※そのために登記記録には登記原因の日付が入っていない)、実際の登記実務においては、その物件に対し抵当権者などの「善意の第三者」が登記していることが多く、そのためにその無効を善意の第三者に対抗できないことから(民法94条(2))、判例上も実務上も、このような変則的な登記を認めているのです。
Q.ということは、「善意の第三者」である抵当権者などの担保権の登記が残ったままで、元の所有者に登記名義が移転している(戻っている)ということですね。
A.そういうことです。つまり、甲区においては、登記原因が「真正な登記名義の回復」ということで、所有権が元の所有者に移転するという登記をしますが、乙区の方には、抵当権などの担保権の登記が残ったままですから、担保権者にとっては何らの実害もないということで、認められているのです。
Q.このような登記は、実際にどのような場合に行われるのですか。
A.実際の理由はよく分かりませんが、相続絡みの原因以外が考えられるとすれば、やはり権利関係のトラブルか何かの手続上のミスでその物件が第三者の手に渡ってしまい、その後、その物件に第三者が抵当権等の登記をしてしまったというケースだろうと思います。
したがって、そのようなケースの場合には、所有権の名義は元に戻りますが、抵当権等の登記はそのままですから、その登記の抹消を何とかしなければなりません。
Q.どのようにしたら抹消できるのでしょうか。
A.ケースによっては、何らかの法的な対応をしなければならない場合があるでしょうから、そのような場合には、事前に弁護士などの専門家に入ってもらう必要が出てくると思います。
渡邊不動産取引法実務研究所 代表 渡邊 秀男






















