不動産取引現場での意外な誤解 売買編212 土地の所有権はどんな土地でも放棄できる?
住宅新報 2024年5月21日 号 11面
連載: 不動産取引現場での意外な誤解

Q.土地の所有権を放棄することができる制度として、新たに「相続土地国庫帰属法」(以下「新法」)が制定されました。どういった土地が放棄できるのか、また、その基本的な放棄制度の内容は、どのようなものなのでしょうか。
A.基本的な考え方としては、まず前提として、(1)所有権を放棄したいと考えている人が国にその旨を申請し、その承認を受けて始めて手続が進められるということ、(2)そのための要件が3つ定められているということです。
Q.その最初の要件とは、どのようなものですか。 A.それは、その放棄できる土地が、「相続等(相続人に対する遺贈を含む。以下同じ)により取得した土地に限る」ということです。
正確には、その「相続等」により土地の所有権の全部または一部を取得した土地に限るということですが(新法2条(1))、もしその土地が共有の場合には、その共有者全員が行うことにより放棄することができるということになっており(新法2条(2))、更にその共有者の中に「相続等」以外の原因で持分を取得した者がいる場合には、その者を含めた共有者全員が申請をすることにより行うことができるということになっています(新法2条(2)後段)。
Q.なるほど。では、2番目の要件はどのようなものですか。
A.その放棄する土地が、国の定める基準に合致していることで、具体的には、(1)建物がなく、他人の権利が設定されていないこと、(2)境界が明確で、土地の所有権に争いがないこと、(3)土壌汚染や地下埋設物その他の障害物がないこと、(3)急傾斜地(崖地)など、通常の管理をするのに過分の費用・労力を要する土地でないことなどです(新法2条(3)、5条(1))。
Q.では、最後の要件はどのような内容ですか。
A.2点あり、その第1点は承認申請をする際に、所定の審査手数料を納付すること(新法3条(2))、第2点は、その結果承認処分があったときは、所定の管理負担金10年分を国庫に納付することです(新法10条)。この負担金の納付により、その時点で土地の所有権が国庫に移転します(新法11条(1))。
渡邊不動産取引法実務研究所 代表 渡邊 秀男






















