地価公示 業界コメント
住宅新報 2024年4月2日 号 3面

団体
不動産もGX・DXで促進
吉田淳一・不動産協会理事長 都市部・地方部とも上昇基調を強めている。経済の緩やかな回復が地価に反映されたと認識している。防災性能の重要性や少子化・人口減少など構造的な課題にも直面する中、新たな成長型経済に移行していくには、引き続き安心・安全なまちづくりを通じて社会課題の解決を経済成長のエンジンに変えていく必要がある。とりわけ、不動産分野におけるGXやDXの一層の促進によるイノベーションの創出等も図りながら、都市再生の推進による我が国の国際競争力の強化、更新等も含めた良質な住宅ストックの形成、不動産市場の活性化を進めていくことが不可欠だ。
住宅取得意欲への影響注視
坂本久・全国宅地建物取引業協会連合会会長 全宅連不動産総合研究所の調査でも直近の土地価格動向DIで実感値はプラス4.7ポイントで不動産を取り巻く環境は好調の兆し。一方、マイナス金利を解除した。住宅ローン金利や消費者の住宅取得意欲に影響を及ぼさないか注視する。全宅連は、今年4月に施行される相続登記の義務化など所有者不明土地等の解消に向けた各種制度の確実な実行を望むものであり、昨年12月施行の改正空家特措法に基づく宅建協会への管理活用支援法人指定への支援や相談体制の構築等により、社会的な課題である空き家、空き地等の解消に向けた取り組みにまい進する。
将来の変動金利上昇に対応
中村裕昌・全日本不動産協会理事長 折しも2016年より続いたマイナス金利政策の解除が決定されたところであるが、足元での短期プライムレートの上昇は起きないと見ており、目先の住宅ローン市場に大きな影響はないと思われる。しかし、巨視的には既に金利上昇局面に入っているとも考えられ、これに伴い大都市圏を中心に更なる地価の上昇が生じるのはほぼ確実であり、更には変動金利の利率上昇も遠からず現実のものとなろう。このような理解のもと、当会としても引き続き時流と市場動向を見定めながら、時宜に即した対応を行っていく所存である。
マイナス金利解除後を意識
太田陽一・不動産流通経営協会理事長 全国平均で全用途平均・住宅地・商業地のいずれも3年連続で上昇し、上昇率が拡大。住宅地は三大都市圏のいずれも上昇率が拡大し、地方四市でも高い上昇率を維持し、周辺部に上昇の範囲が拡大している。東日本不動産流通機構の統計によると、首都圏中古マンションの成約価格(m2単価)は46カ月連続、成約件数も9カ月連続で対前年比上昇が継続。足元の首都圏中古戸建て住宅の成約価格は、ほぼ横ばいを維持し、成約件数も総じて上昇傾向に入った。日銀によるマイナス金利政策の解除が今後の需給に及ぼす影響については引き続き注視していきたい。
開発大手
本質的な価値提供を続ける
中島篤・三菱地所社長 日経平均株価の上昇、企業の力強い賃上げ、マイナス金利政策の解除などを不動産業界全体の好機と捉え、本質的な価値提供を続けていきたい。分譲住宅は都心の高額物件の需要が引き続き旺盛で、賃貸住宅はフレキシブルな働き方が社会に根付き、インバウンド回復でホテルやアウトレットも好調だ。オフィスは、出社率が上昇傾向にあり、丸の内エリアへの集約移転や業容拡大による増床の動きが活発化。東京駅前の「TorchTower」の他、渋谷や赤坂でも新たに大型複合ビルを着工した。人・企業を呼び込み、巻き込みながら、新しい価値を生み出し続けるまちづくりを実現したい。
オフィス移転増床が強まる
仁島浩順・住友不動産社長 国内経済は、物価の上昇が浸透しつつある中、企業業績の拡大や賃金の上昇期待の高まりなど、景気は緩やかな回復基調が持続している。こうした中、商業地では、ホテルや商業店舗の需要が回復したほか、東京のオフィスビル市況も、企業の出社回帰や優秀な人材確保に向けた、働きやすいオフィス環境整備を目的とした移転、増床需要が一段と強まっている。住宅地は、資材高などを反映して戸建てやマンションの販売価格上昇が続くものの、住宅取得支援策の継続などが下支えとなり、希少性の高い都心や生活利便の高い地域を中心に一定の需要が保たれている。
想定しづらい価格下落
松尾大作・野村不動産社長 住宅市場は需要が堅調。マンション供給数も減っているため需給バランスが取れている。金利上昇も予想されるが、当社の顧客の多くが変動金利の住宅ローンを利用し、同ローンの過去の変遷を見る限り急激な上昇になるとは考えづらい。建築費高騰は継続し、価格下落も想定しにくい。オフィス市場は、当社主力ブランドのPMOを例に挙げると、出社や採用を増加している。サービス付き小規模オフィスのH1Oや時間貸しシェアオフィスのH1Tの組み合わせにより、働き方の多様化に対応出来ている。地価公示は、様々なマクロ指標と合わせて今後も重要指標として注視する。
人流回復を受けて地価回復
星野浩明・東急不動産社長 住宅ローン金利や人手不足などを注視する必要があるが、不動産市況は回復基調が続くだろう。アフターコロナの人流回復を受けて都心を中心に商業地と利便性の高い住宅地などは地価回復が続いている。当社がホームグラウンドとする渋谷駅を中心に半径2.5キロ圏域では観光需要が活発だ。地域別に地価の上昇地点を見ると、北海道では30年以降に予定される北海道新幹線の札幌駅への延伸を見据え、札幌駅周辺を中心に市内で開発が進んでいるほか、新千歳空港近くでの半導体工場の開発などもあり札幌市周辺でも住宅地、商業地にも地価上昇の流れが波及している。
地価は上昇基調を強める
野村均・東京建物社長 地価の上昇基調は、好調な分譲マンション市場に加え、ホテルや店舗需要の回復、オフィス需要の底堅さ、再開発による利便性向上エリアの増加が背景にある。日銀の政策変更による金利上昇はそれほど大幅なものにはならないとみており、当面不動産市場への影響は少ない。地政学的リスクや為替変動の影響、国内外の物価動向や人手不足問題等、今後の景気への不安要素もあるが、社会経済活動が更に活発化し、原材料上昇分の製品価格転嫁、賃金上昇などが進むと、商業地、住宅地、工業地を問わず利便性の高いエリアを中心に、地価は上昇基調を強める可能性がある。
都市の価値向上に貢献する
伊達美和子・森トラスト社長 東京23 区全体の地価は3 年連続で上昇し、上昇率も拡大した。大規模な再開発事業が進行中の虎ノ門エリアや、国内外の富裕層による消費が活況な銀座エリアは、出社率の回復による底堅いオフィス賃貸需要、訪日客需要の拡大への期待による店舗需要の高まりと旺盛な投資需要を背景に、地価は2年連続で上昇傾向となった。地方も、人流の増加とインバウンドを含めた消費回復による店舗需要の高まり、再開発事業の進展が起点となり、地価の上昇が継続している。日本経済の好循環に国内外から期待が集まる中、当社は長期的な視点に立ち、都市の価値向上に貢献していく。






















