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プレミアム会員限定不動産取引現場での意外な誤解 賃貸編206 借主は民法461条の抗弁権をなぜ行使できない?

住宅新報 2024年3月26日 号 13面

連載: 不動産取引現場での意外な誤解

総合
不動産取引現場での意外な誤解 賃貸編206 借主は民法461条の抗弁権をなぜ行使できない?

Q.前回説明のあった保証委託契約に関し、日本賃貸住宅管理協会(日管協)が作成した同契約書の7条(事前求償権)2項には「保証会社が事前求償権を行使する場合、借主は民法461条に基づく抗弁権を主張できないことをあらかじめ承諾する」という条項がありますが、その中の「民法461条に基づく抗弁権」とは、どのような抗弁権なのでしょうか。

A.民法461条に基づく抗弁権とは、家賃保証会社が事前求償権を行使する場合または行使した後に、その事前求償で得たものを貸主に弁済することを担保するために、借主が保証会社に担保を請求したり自己の責任を免責するよう請求できるとし(同条1項)、また、借主自らが担保を提供したり自ら弁済し、保証債務を免除させることもできる(同条2項)という抗弁権のことです。したがって、この抗弁権というのは、借主にとってはいわば当然の権利といえます。

Q.それがなぜ権利主張できないのでしょうか。

A.それは、前回にも申し上げたとおり、その保証委託契約において、借主がすでに家賃保証会社のために、敷金・保証金の返還請求権を担保提供することを承諾しているからです(同契約書13条)。ということは、いわば借主が担保提供をすることによって自らの抗弁権を放棄しているともいえるからです。

Q.しかし、この事前求償権については分からないことが多く、民法460条には事前求償ができるケースとして、借主の破産や、債務が弁済期にある場合などの3通りしか定められていないにもかかわらず、日管協の作成の保証委託契約書7条には、「借主が賃貸借契約の各条項に違反し求償権の保全が必要になった場合」など、かなりの数の事前求償権の行使事由が定められています。これは、なぜなのでしょうか。 

A.結論から申し上げれば、この民法460条の規定が任意規定だからです。したがって、日管協作成の保証委託契約書7条には、そのほかにも、借主が仮処分や仮差押、強制執行、競売申立または公租公課の滞納処分を受けた場合や借主が行方不明になった場合など、数多くの事前求償ができるケースを定めています。

渡邊不動産取引法実務研究所 代表 渡邊 秀男

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