競売不動産取扱主任者 8月1日より申込受付開始 試験日2026年12月13日(日)

様々な不動産情報が盛り沢山!

スタンダード会員限定「根付くか」日本でエージェント制 個人の能力に照準 市場活性化へ期待が膨らむ 消費者との情報格差縮む

住宅新報 2024年3月12日 号 1面

総合
  • 「根付くか」日本でエージェント制 個人の能力に照準 市場活性化へ期待が膨らむ 消費者との情報格差縮む

    1 / 2

  • 独自のトレーニングを実施するケラー・ウィリアムズ・ジャパン。講師の話に聞き入るエージェントたち

    2 / 2独自のトレーニングを実施するケラー・ウィリアムズ・ジャパン。講師の話に聞き入るエージェントたち

まずは売主サイドから

 価値住宅(東京都渋谷区、高橋正典社長)は16年2月に不動産売却ボランタリーチェーン「売却の窓口」の運営を始めた。「売却の窓口」は売却専門の全国ネットワークで、中小不動産会社が売主(物件)を獲得できるよう支援する。そのため本部としては、加盟店に対して、売主がインスペクションや瑕疵保険を導入することを勧めるよう指導している。売り物件に付加価値を付けることで買主が見つけやすくなり、高値での売却も可能となるからだ。

 高橋社長は「瑕疵保険やインスペクション、そして住宅履歴情報などにネガティブ情報があっても。それらを含めて公開することが流通市場の活性化につながる」と話す。双方に代理人が付く米国型とは言えないが、まずは売主のなるべく高値で早く売却したいというニーズに寄り添うものであることは間違いない。

資産価値を維持

 リニュアル仲介(東京都新宿区、西生建社長)は11年11月に設立された。近年は不動産テックの開発で注目されているが、もともとは資産価値が下がりにくい住宅購入の仕方を買主にアドバイスすることから始めた会社だ。西生社長は、「資産価値が下がってしまう住宅ばかりでは市場が活性化するはずがない」と指摘する。そこで、「中古住宅購入+リフォーム」というスタイルを前提に、リフォーム事業者との連携も図りながら、「瑕疵保険」「住宅履歴」「インスペクション」「リフォームと住宅購入資金の一体ローン」などのサービスを提供している。まさに住宅購入者に寄り添うエージェントとして、同様の価値観を持つ不動産事業者・建築事業者などと共に、健全な中古住宅流通市場の形成に努めている。得意の不動産テックでは、気になる物件の良しあしを簡単にAI評価できる「セルフィン」のほか、「物件提案ロボ」「全国マンションデータベース」、更にオーナー向けには、所有するマンションの資産性をウォッチして売却タイミングを計ることができる「オーナーコネクト」というツールも提供している。仲介部門においてはオーナー向けのエージェントも務める。

 ただ、日本の流通市場で売り主または買い主のどちらかに寄り添い、原則として共同仲介を標ぼうしている会社は今のところ少数派だ。

K・Wが日本上陸

 そうした中、世界最大級の不動産会社といわれるケラー・ウイリアムズ(K・W)が20年1月に日本に上陸し、米国のセールスパーソンのような個人事業主型のエージェント制を広めるためFC展開を始めた。上陸後に運悪くコロナが始まったが、現在日本の不動産会社の加盟数は14店舗、登録エージェントは380名に達している。FC本部(通称=K・W・ジャパン)のエージェント・グロース(東京都港区)の山本豪社長はFCが日本に定着するためのカギついてこう語る。

 「まずは加盟店(日本の不動産会社)が黒字化すること、そしてエージェントが十分に稼げているかだ」

 売買契約が成立した場合は、原則として仲介手数料のうち6割がエージェント、3割が不動産会社、残る1割が本部の収入となる。つまり、同FCが成功するかどうかはひとえにエージェントが優秀かどうかにかかっているとも言える。そのため、K・Wのエージェントになるには本部の高度な教育トレーニングを受け、マスターしなければならない。

 もう一つのポイントは、宅建業法で日本の不動産会社は従業員5人に1人の割合で宅建士を置かなければならないが、逆に言えば4人は何の資格もいらないという点に着目していること。宅建士資格者でなくても徹底したトレーニングで不動産に関する知識はもちろん、成約に結びつけるための能力を身に付ければ加盟店で仕事ができ、個人事業主的な高い報酬が得られる可能性がある。

顧客が宅建士を選ぶ

 一方、従来のように不動産会社に所属する社員という立場は変わらないものの、営業担当者個人が前面に出る仕組みも登場している。22年5月に三菱地所リアルエステートサービスがスタートさせたマッチングサイト「タクシエ」だ。これは、住宅の売却検討者が自分で営業担当者(エージェント)を、その実績や得意分野などを見て選べるサイトだ。

 昨今は不動産会社ではなく、担当者をその人柄なども含めて選びたいというニーズが高まってきていることが背景にある。現在同サイトには32社・約400名の〝精鋭宅建士〟がエージェントとして登録されている。選んだエージェントへの質問や相談はチャットやメッセージでやり取りできる気軽さが受けている。また、この2月には、「仲介コース」と23年7月に追加した「買取コース」の選択を従来よりもスピーディーに行えるようにするシステム改修も実施。更に、より端的に満足度の高い取り引きができるように、事前に売却希望者にアンケートを実施し、早い段階で登録エージェントがそれに合った提案を出せる仕組みをスタートさせた。ミスマッチを避けると共に、エージェントは自分の強みをより発揮しやすくなる。

 同社タクシエ事業室の落合晃氏は「業界として情報の非対称性が言われてきたが、最近はユーザーもかなり不動産に関する情報を得られるようになった。そうなると仲介の価値は、物件情報量よりも顧客にどのようなコンサルができるか、になる。個人の能力が際立つ」と話す。

 米国など海外と比べて日本では一生のうちに住み替える(売買)回数が少ない。その背景には、売買のハードルが高いためと言われる。世の中にあふれる情報をどう活用すべきか、そもそも真実なのかを判断するのも難しい。スムーズに満足度の高い取り引き経験ができれば、2回、3回と住み替えに動く可能性が高まる。タクシエ事業室長の磯貝徹氏は、「よいエージェントと出会った経験が重要。そのためにはエージェントがスキルを磨き、それを発揮できる場があることが大切になる」と話す。

定義 曖昧なまま

 このように日本における〝エージェント化〟という言葉の使い方は様々だ。宅建士は不動産会社の一従業員ではあるが、「依頼者に寄り添うことが第一」という意味での〝エージェント化〟もあれば、最終的には米国並みの個人事業主化に向かう流れと見ることもできる。その混沌とした現状が曖昧なままに終わるのか、緩やかながらも改革が進むのか。エージェント化の行きつく先に業界の関心は高い。

求む!買取物件 価値ある中古不動産の売買はムゲンエステート住宅新報別冊 不動産テック.BIZ Vol.14 最新号発行 不動産×ITの最新トレンドをお届け会員会社(賛助会員を含む)のプレスリリースを一元的に集約・掲載する情報発信サイト マンション管理プレスリリースセンター

関連サービス