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スタンダード会員限定古民家宿の物語 日本全国リノベーション (58) 茨城県結城市「HOTEL(TEN)」(上) まちづくりの延長線上に宿が誕生

住宅新報 2024年1月23日 号 11面

連載: 古民家宿の物語 日本全国リノベーション

総合
新しい宿の前で飯野さんと野口さんの2人

新しい宿の前で飯野さんと野口さんの2人

ダイニングの斬新な設計

 宿は新しく作った板塀に囲まれ、門をくぐると整備された庭や広い玄関、屋内に入ると廊下の奥に一番リノベーションに力を入れたというダイニングキッチンがある。床は土間にして一段下げ、天井は梁をそのまま見せた。剝き出しにした土壁も魅力的だ。洗面の丸い鏡は、味噌樽の輪が縁取られている。結城市は発酵の街でもあり、味噌作りが盛んでモチーフにした。

10数年に渡る地域活動

 「HOTEL(TEN)」は、〝結城市を良くしていきたい〟という地元の想いから誕生した宿だ。同市はかつての賑わいを想像できる古い建物が多く残るものの、少子高齢化による人口減少や若者人口の流出が続き、商店街がすっかり寂れていた。地元に残った若手でやりたいことをやろうと立ち上がったのが、10年当時30歳代だった飯野勝智さんと野口純一さん。本業を持ちながら地域の仲間を巻き込み、マルシェイベント「結い市」を開始。秋の例大祭と同時開催で、年々規模を拡大している。春には音楽フェスも開催し、10数年継続した結果、若い移住者や地域とつながる関係人口も増えてきた。

 地域活性の成功事例として全国でも注目を集め、視察ツアーを受け入れる一方、市内に適した宿がないため、自分たちの想いを伝えきれず、宿づくりに着手。構想は19年に始まった。

大家さんに信頼される

 この建物を宿にしたのは、イベントの拠点として使い、直接大家さんと交流する機会を得たのが大きかったと振り返る。建物は、かつて曳家(ひきや)でセットバックしたそうだ。前の持主の家業が土木関係だったこともあり、可能だったのだろう。相続された大家さんは、家業を継がず、町を出て、別の場所で暮らしていたが、家の思い出もあり、売却を決断できずにいた。地域の取り組みをする2人の人柄を知り、そのまま使ってもらうことを条件に譲ることにした。

 宿の隣には寺があり、ここもイベント会場になる。商店街と寺をつなぐ立地は、最高のロケーションだ。

宿=「HOTEL(TEN)」

住所=茨城県結城市結城

ウリ=城下町だった結城市の伝統とモダンさを感じられる

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