ニュースが分かる! Q&A DXの「25年の崖」と「29年問題」 〝新デジタル世代〟がやってくる
住宅新報 2024年1月9日 号 12面
連載: ニュースが分かる!Q&A

友人A 不動産企業各社では今後のDXを見据え、最新ITツールの導入が進んでいる。経済産業省がレポートで提示している「2025年の崖」の問題は、今から真剣にDX化に取り組まねば、企業の競争力の低下が避けられないと警鐘を鳴らしている。
友人B 当社でも、ようやく「CRM」(顧客関係管理)システムを導入した。これまでの表計算ソフトによる管理に比べれば、業務の効率化や生産性の向上が期待できる。
A 注意したいのはDXとは、単にITツールを業務に導入して代替えすることではない。仕事の内容や方法を見直し、改善点を含めてデジタル技術で〝ビジネスモデル自体〟を変革すること。顧客に〝新たな体験価値〟を提供する段階に至らねばならない。
B 単純にITツールを導入するだけではダメなのか。
A 一方で、従来のITシステムは、「COBOL」という古いプログラミング言語が使われている。それを理解できるITエンジニアが25年に定年退職する課題がある。
B 旧来のシステムが多く残る創業年数の古い大手企業の影響は大きいな。中小企業もIT化に対応しないと、顧客の満足度が低下し、市場からの退場を余儀なくされる。
A 現状の業務の課題を洗い出し、新しいビジネススタイルを志向すること。賃貸借契約で紙書類から電子契約に変更するなど、まずは導入しやすいデジタルツールを上手に使う必要がある。また、IT専門人材の不足感も深刻化している。経済産業省は20年時点で30万人、30年に45万人から80万人のIT専門人材が不足すると予測している。
B デジタルツールで仕事を遂行し、業績の向上に貢献できる人材が求められているな。中小企業では、給与が高額化するIT専門人材の雇用自体にハードルが高い。
A 仮に採用できても、自社につなぎとめるために、高い給与を払い続ける必要があり、企業は成長し続けなければならない。海外の高度な技能を持つIT専門人材を呼び込みたくても、低成長が続く今の日本で働きたいと希望する人材は、そう多くはない。
B 既に自社に在籍し、業務を熟知している人材をリスキリングなどでIT専門人材に育成する取り組みが進み始めた。大手企業ではIT専門人材の採用を、新卒とは別枠で設ける場合が増えている。
A 就職前の今の子供たちは、20年の新しい学習指導要領で小学校からプログラミング教育が必修化され、デジタル技術を学んでいる。25年からの大学共通テストは、従来の5教科7科目に「情報科目」が新設され、6教科8科目になる。25年の大学共通テストを経験した初めての世代が29年に新卒入社してくる。これは、「2029年問題」として注目されている。
B 「2025年の崖」の問題を無事に乗り越えたとして、その〝新デジタル世代〟が新卒入社してくることで、何か問題になるのか。
A 新デジタル世代が新卒入社すると、ベテラン世代だけではなく、今の若手世代とも企業や組織内で〝分断〟が起きうると危惧されている。
B 組織が分断されかねないとは、どういう意味だ。
A 新デジタル世代は、転職を前提として、個人のデジタルスキルの向上を志向する傾向が強いようだ。就職先を選ぶ際には、企業のDXへの取り組みの有無を重要視している。デジタルツールを使いこなすだけではなく、自身でシステムを開発しながら、社会課題の解消に取り組みたいと考えている世代でもある。
B デジタル変革できていない企業や現在の人材は、今後の後輩や部下になる新デジタル世代から、相手にされなくなる可能性があるのか。
A 更には、別の「2029年問題」もある。米国のAI研究の権威と言われる発明家のレイ・カーツワイル氏によれば、コンピューターの知能は29年に人間と同等になる。更に45年には、人間の知能を超える〝シンギュラリティ〟を迎えると提唱した。
B 世代間の分断に加え、人とコンピューターの分断にも発展しそうだ。コンピューターはプログラミングに基づくため、人間のような柔軟性を持てるかは疑問だが。
A 例えば、最新ITツールを用いて住まい探しを支援する。その上でデータにはない暮らし方を描く提案力を養う。新たな想像力・創造力が今後の人間には必要になる。






















