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スタンダード会員限定インフレを成長の起点に 人出不足に向き合う 建設現場の省力化と人材の獲得を

住宅新報 2024年1月2日 号 24面

総合
  • インフレを成長の起点に 人出不足に向き合う 建設現場の省力化と人材の獲得を

    1 / 7

  • ドローンが危険、狭い箇所を自在に飛行して、人の作業を代替えする

    2 / 7ドローンが危険、狭い箇所を自在に飛行して、人の作業を代替えする

  • 最新のドローンは、電波の届かない非・GNSS環境下でも稼働する

    3 / 7最新のドローンは、電波の届かない非・GNSS環境下でも稼働する

  • 複数の「家庭用」のロボット掃除機がオフィスで活用する

    4 / 7複数の「家庭用」のロボット掃除機がオフィスで活用する

  • 4つのステージ、各メーカーのレバーから選び、操作ができる。企画開発に携わる藤井氏(㊧)と田口氏は、実際の運転も持っている

    5 / 74つのステージ、各メーカーのレバーから選び、操作ができる。企画開発に携わる藤井氏(㊧)と田口氏は、実際の運転も持っている

  • 360度の視界のリアルに近い臨場感で本格的に操作できる

    6 / 7360度の視界のリアルに近い臨場感で本格的に操作できる

  • 制限時間内にクリアできるかゲーム感覚でも楽しめる

    7 / 7制限時間内にクリアできるかゲーム感覚でも楽しめる

 

 大手企業を中心に過去最高益を更新し、企業の好決算が目立つ。不動産業界でも業績を伸長させている企業が少なくない。ただ、原材料価格の高騰や更なる賃上げ要求、税金の拡大などといった〝コスト上昇型〟のインフレでは、企業が価格に転嫁できるうちはよいものの、一層の生産コストの上昇につながりかねない。経営を圧迫し、事業の存続さえも脅かしかねない。高生産性への変革や業務の効率化が必須となっている。

 労働集約型の建設現場やビル管理では、ロボット化や自動化で省力化が進展し始めている。最新テクノロジーやソリューションによって働く場の魅力を高めて人材を引き付け、24年4月に建設業でも適用される労働時間上限規制や深刻化する人手不足の解消を支援する企業が増えている。

人とデバイスが協働する

ドローンとロボットが活躍

 ブルーイノベーション(東京都文京区)では、複数のドローン(無人航空機)やロボット、センサーのデバイス(機器)を統合し、遠隔で制御・管理できる独自開発のデバイス統合プラットフォーム『Blue Earth Platform』(以下・BEP)の提供を通じて、企業や社会課題の解決を支援している。人とテクノロジーを融合させる取り組みで注目を集め、23年12月には、東京証券取引所グロース市場に新規上場した。

 『BEP』はこれまで、電力やプラントなどのインフラ業界へ提供してきた。最近は高経年化や老朽化した施設や建物の「点検」を中心として、清掃、警備・保安、配送・運搬、測量などの幅広い領域に活用の場面を広げている。複数業務を遠隔で制御して省力化や自動化を実現し、ロボットやドローンと人が協働する姿を具現化している。

 同社代表取締役社長執行役員CEOの熊田貴之氏は、「不動産ディベロッパーやゼネコン、建設コンサルタントとの連携を始めている。システムと連動する各種ロボットが活躍する場を広げている。不動産・建設会社にとっては、今後の建物の〝在り方〟を見つめ直し、変革を考える機会にもなっている」と説明する。

 例えば、東急建設(東京都渋谷区)は、屋内点検用の球体ドローンを導入し、屋内工事現場での施工管理や測量業務を効率化している。電波の届かない非GNSS(衛星測位システム)領域でも、LiDARセンサーでスキャンした空間情報を、リアルタイムに高精度3Dマップで表示する。従来の徒歩での測量に比べて工数とコストを削減し、足場が悪い危険な場所でも人が立ち入る必要がない。作業員の安全を確保できる。

 ブルーイノベーションは、新たなビジネス領域にも進出している。ドローン物流の社会実装に向け、国土交通省や東京大学との共同により、ドローンポート(離発着場)情報管理システム『BEPポート/VIS』を開発。同社を中心に提言したドローンポートの規格化は、国際標準化機構ISOで正式発行された。

 また、建物管理や警備などの既存システムと連携した業務の自動化の支援も始めている。ビルメンテナンスの大成(名古屋市中区)は、オフィスビルに複数台の「家庭用」のロボット掃除機を活用するオフィス向けロボット清掃ソリューション『BEPクリーン』を導入し、清掃スタッフの作業負担軽減に取り組む。

 従来の大型な「業務用」の清掃ロボットを活用すると、導入コストが高額になる。小スペースな会議室や執務室では小回りが効かず、行き届いた清掃がしづらい。小型の家庭用のロボット掃除機が代替えすれば、同時に複数台を制御して細かな部分も清掃できる。単純に掃除だけでなく、稼働状況や作業報告書をデジタルで可視化して確認もできる。

 人とロボットが業務分担することで、オフィスなどで一層快適な環境を整えられる。スマートオフィスは、そこで働く人たちのモチベーションにもなる。コロナ禍の緊急事態や人手不足にもロボットなどの自動化は即応しやすい。

新しいまちづくり

 国内の施設や建物の老朽化が進展している。必要な点検を軸に、今後もソリューションの開発提供でDXを支援することで、「自律移動体に進化したドローンなどをBEPでつなぎ、社会実装する。調査や巡回など、建物OSや交通OS、都市OSと連携してスマートシティの新しいまちづくりに貢献する」(同社の熊田代表)と展望している。

 

楽しみながら技術を磨く

VR空間で重機操作を体感する

 人手不足と共に建設現場では、高齢化も深刻化する。若手人材などを呼ぶ込む策に、または、安全教育や技術向上の支援ツールとして、トライアロー(東京都港区)は、建設重機の操作シミュレーション体験アプリ『重機でGo』を提供している。

 同社は、建設業や携帯電話基地局、電気通信向けのITエンジニアや事務スタッフの人材派遣事業を主軸に、アウトソーシングサービスや、ソリューションの提供で事業を展開している。同アプリ開発のきっかけは、「重機オペレーター不足のため、未経験者にも興味を持ってほしい」との福島県内の建設会社の声だった。「当社は派遣事業を担い、人手不足は切実な問題で高い解像度で実感している。例えば、外国人技能実習生への日本語の教育指導では、ニュアンスまでも伝わりづらい。シミュレーションで身体を動かしながら学べば、操作方法を習得しやすい」と同社営業企画プロモーション担当課長代理の竹達英司氏は説明する。

 同アプリは、4つのステージから選べる。本物の重機の〝本格的な操作感〟を体験できる。旋回やアームの開閉スピードを設定し、バックホー(ショベルカー)を操作できる。「スマートフォン版」と迫力のある「VR版」がある。

 いずれも無料で使える。スマホ版は画面上のボタンで、VR版は米国・Meta製の付属コントローラーやレバーのパターンをJISやコマツなどのメーカー別に4つから選び、操作する。VRゴーグルを用いて360度の視界を見回し、周囲の状況を確認しながら、リアルな現場の感覚そのままに体験ができる。

 19年5月に開発・提供して以来、建設会社・団体の就職フェアなどの建設関連イベントや展示会、中学校の職業講話などにレンタルしている。企業ブース内で写真パネルを単に展示するよりも、実際の操作で体感してもらうほうが訴求力は高まる。企業や業界の認知・PRに、実技試験前の練習、安全意識の向上や教育用でも活用されている。

 小型車両系建設機械(整地など)の運転資格を持ち、企画開発に携わる同社ソリューション企画課課長補佐の藤井歩氏は、「積み込み運搬の目標時間を設定して、現場実務に沿って楽しく学べる。言葉や理屈ではなく、身体で覚えられる。安全教育に役立ち、新人の操作訓練や、操作経験者も現実の現場でのヒヤリハット、事故に備えられ、ミスを防ぐ一助になる」と話す。

 同様に企画開発に携わるフォークリフト(1トン未満)の運転資格を持つ同課の田口花音氏は、「自身は未経験入社ながら、アプリ開発のためにフォークリフトの資格を取得した。実際さながらの操作感を各機能に反映している」と説明する。イベント利用時に高い評価を得られたことで、要望に合わせて、企業各社向けにカスタマイズする「有料版」も用意している。バックホー以外でも、クレーン車や除雪車、フォークリフトの物流向けにも対応する。今後は、解体現場や、天候・時間の変化、複数の重機の同時操作でゲーム性も高めていく。

 更に同社では、AR技術を活用した空間測量アプリを開発した。スマートフォンで建設現場の区画を撮影すれば、経験や勘に頼らずに、必要なコンクリート量の面積や体積を測量できるようにした。

まずは使い、感じる

 最新テクノロジーは、業務の効率化や生産性の向上、人手不足の解消にも役立つ。最新技術をまずは使ってみる、感じてみることが重要なのかもしれない。

 

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