不動産取引現場での意外な誤解 賃貸編193 極度額以外に保証人を保護するための規定は?
住宅新報 2023年9月5日 号 11面
連載: 不動産取引現場での意外な誤解

Q.前回の話ですと、賃貸借契約における保証契約締結後の増額賃料が保証の対象になるかどうかは、原則的には対象になるとしつつ、当事者の合意内容や信義則に照らし、判断することによって、結論が異なるとのことでした。そうなると、保証人としても極度額を設定はあるにしても、その責任がどこまで生じるのかが分からなくて困るのではないでしょうか。
A.そのとおりです。値上げされた賃料ばかりでなく、その後に生じた延滞賃料や遅延損害金なども含まれますので(民法447条)、保証人としては、どうしてよいか分からなくなることもあると思います。しかし、打つ手がないわけではありません。それは、主たる債務者である借主の債務の履行状況について、保証人が債権者である貸主に対し、情報提供を請求する方法です(民法458条の2)。
この規定は、20年施行の改正民法によって設けられた規定で、これによって、保証人はその保証すべき範囲や状況を確認できるのですが、そのためには、保証人の方から貸主に情報提供の請求をしなければなりません。
Q.保証人が借主の債務の履行状況を貸主に確認できるというのは、かなりの進歩だと思いますが、保証人としても、常に借主の動向を注視するというわけにもいかないのではないでしょうか。
A.そう思います。そこで、改正民法では、そのための保証人保護の追加規定として、貸主に対し、「借主が期限の利益を喪失した場合の情報提供義務」を課しました(民法458条の3)。
それは、たとえば借主が賃料の支払いを滞り、それを分割払いにしたものの、それでも支払いができなかったということで、その期限の利益を喪失した場合に、貸主は、保証人に対し、その分割金不払いの事実を知った時から2か月以内に、その旨を保証人に通知しなければならないという義務を課したのです。そして、貸主がその通知を2か月以内にしなかったときは、その期限の利益喪失時から通知をするまでに生じた遅延損害金の請求をできないとしたのです(同条(2))。なお、この規定は法人である保証人には適用されません(同条(3))。
渡邊不動産取引法実務研究所 代表 渡邊 秀男






















