広がる物流不動産ビジネス 業界横断で倉庫に可能性 イーソーコ総合研究所 代表取締役 出村亜希子 第4回 強み切り口に新事業を創出
住宅新報 2023年7月18日 号 3面
大阪と東京に拠点を構えるカマダ工芸は、創業100年を超える歴史があり、各種看板制作を中心に、販促用什器、イベント用什器、オフィス什器製作などを手掛けるものづくりの会社です。イメージを形にするのが得意な会社で、大阪には自社倉庫及び工房があり、熟練した職人が在籍するほか、各地のネットワークにより全国対応できる点も強みです。今日まで培った技術力で仕事を受注し、口コミや紹介が主流の受身営業でやってきたため、これまであまり広報的な取り組みには注力しなかったといいます。未曾有のコロナ禍を経て、営業力強化の方法を模索していました。
過去に物流で取引のあったことから、物流不動産ビジネスにおけるものづくりの分野を強化しようと、当社グループが資本参加し、本格的に協業を始めました。相性が良いのは、やはり建築事業です。
まずグループの会員企業を対象に袖看板の調査の連携からスタートしました。高度経済成長期に多く設置された袖看板は長年風雨に晒され傷みが出てきています。近年、落下事故などで、オーナーの責任が問われることもあります。高所に設置されていることも多く、都度、高所作業車などが必要といった、メンテナンスのしにくさから、撤去し、他のサインへのリプレイスなどを提案しました。
次に、倉庫リノベーション空間におけるオーダー什器製作を手掛けました。倉庫リノベーションは、既存の物件に合わせて内装を作るため、既製の什器ではうまく納まらないことも多く、オーダー什器を提案する余地がありました。また、什器製作により、オリジナリティの表現も可能になることから、倉庫リノベーションにおけるデスクやミーティングテーブル、収納棚などの家具製作の受注を増やしてきました。
更に、細かな手仕事が得意なことから、配送と連携し、家具の組み立て設置業務も行うなど、当社グループにとっても提案の幅が広がりました。今後も家具リノベーションを切り口にビジネスを広げる考えです。
本業に関わる受注を伸ばしながら、新たに東大阪市の自社倉庫を活用した不動産業にも取り組み始めています。自社倉庫には過去案件の引取什器が多く保管され、空間に余裕があり、あまり活用されていませんでした。スペースをしっかり確保して活用し収益化を図ろうと、倉庫の大掛かりな整理に乗り出しました。今後、捻出したスペースを賃貸したり、時間貸しをしたりといった検討をしていくとのこと。合わせて、今後は自社以外の倉庫情報についても扱い、不動産のマッチングビジネスを手掛けていく予定です。
4月に就任した田代芳一社長は、若い〝人財〟が集まっていることを物流不動産ビジネスの魅力に挙げ、「様々な業種が関わる裾野の広いビジネス。まずは若い感性で発信を強化していくこと。これまでやってこなかった新しいことに日々挑戦し、新しいビジネスの軸を作っていきたい」と、今後の抱負を語りました。
でむら・あきこ=富山県出身。奈良女子大学大学院修了。一級建築士、宅地建物取引士。不動産コンサルティングマスター。15年より(株)イーソーコ総合研究所代表取締役。著書に『築古[ビル・倉庫]のリノベーション・コンバージョン計画実務資料集』(綜合ユニコム(株)・共著)
























