住友林業など10社 森林ファンドを組成 自然資本をマネタイズ化
住宅新報 2023年7月18日 号 1面
住友林業の傘下で米国の森林アセットマネジメント事業を手掛けるイーストウッド・フォレスツ社(米国・ノースカロライナ州、EF社)が初弾の森林ファンドを組成し、このほど運用を開始した。同ファンドへの参画企業は、同社グループのほか、ENEOS、大阪ガス、東京センチュリー、日本郵政、日本郵船、芙蓉総合リース、三井住友銀行、三井住友信託銀行、ユニ・チャームの10社。資産規模は約600億円。運用期間は15年間を計画。30年までに資産運用規模1000億円を目指す。
同ファンドは参画企業各社の出資金を元に森林を購入・管理し、その森林で生産される木材の販売や、森林が生み出すカーボンクレジットを創出・販売する。光吉敏郎社長は10日に実施した会見で、「経済的な価値創出だけでなく、健全に管理された森林を増やすことで、地球環境や安定的なCO2吸収による出資企業のカーボンオフセットに貢献できる。更に、森林からの木材の生産量増加によって当社の木材、建築も含めた事業領域の競争力強化にもつながる」とファンド組成の意義を述べ、「自然資本をマネタイズにつなげる森林ファンドを目指す」とした。
27年までに北米を中心に約13万ヘクタールの森林を購入。EF社が森林資産の取得・売却や森林経営といったファンド運営の全体管理を担い、ファンド組成や、組成後の出資者とのコミュニケーションなどの日本側からのサポートを、住友林業の完全子会社のSFCアセットマネジメントが担う。
国内版組成も視野 信託受益権化で小規模所有者支援
初弾は北米の山林がアセット対象の中心となるが、同社が泥炭地や熱帯林の保全などに取り組むインドネシアなども検討を進めているほか、同社が山林事業に取り組むオセアニアや日本国内などへも事業を拡大する方針だ。
日本の山林の多くを占める、戦後の植林から50年以上を迎え、CO2を吸収する段階を過ぎたスギやヒノキの人工林についても、光吉社長は、伐採や再植林の必要性を述べると共に、「国内林業の活性化は当社にとっても長期ビジョンにおいて非常に重要なテーマ」と語り、「小規模であっても、国内の森林ファンドもできるだけ早期に立ち上げていきたい」との方針を示した。
国内の森林ファンド組成に当たっては、小規模所有者が大部分を占める日本の山林の所有事情や、林業従事者の不足や高齢化、所有を巡る境界線の不明瞭さ、山道整備の立ち遅れといった日本の林業活性化のボトルネックになっている課題を挙げ、「持続的な林業経営には、所有権が小さすぎる。木材コンビナートを全国に作り、ヒノキやスギ、カラマツなどを、競争力を持った構造材に加工するといった出口が大きなポイント。まずは(Jクレジット申請などに向け)、森林所有者の森林経営計画(策定)をサポートし、最終的には信託受益権化することで、小規模な森林の所有者の資産をまとめ、効率の良い林業経営を行い、小規模所有者にも利益を分配しつつ、再植林してJクレジットを付与するといった仕組み作りが重要」とし、国内の森林資産について「価値評価が低いという現状を変えるために、国内版の森林ファンドの創設は非常に有効だと思う」との見方を示した。






















