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スタンダード会員限定「地域創生と金融」脱炭素・地産地消を活路に 「守り」と「攻め」見極めて資金投下 PwC税理士法人 公認会計士・税理士 鬼頭朱美氏 PwCアドバイザリー合同会社 パートナー 池田道夫氏 適切な仕組み構築がカギ 証券化手法の発達で事業好機も拡大 「ファンド×企業版ふるさと納税」も妙策

住宅新報 2023年5月23日 号 13面

総合
  • 「地域創生と金融」脱炭素・地産地消を活路に 「守り」と「攻め」見極めて資金投下 PwC税理士法人 公認会計士・税理士 鬼頭朱美氏 PwCアドバイザリー合同会社 パートナー 池田道夫氏 適切な仕組み構築がカギ 証券化手法の発達で事業好機も拡大 「ファンド×企業版ふるさと納税」も妙策

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  • 【略歴】鬼頭 朱実(きとう・あけみ) PwC税理士法人 パートナー 公認会計士・税理士 京都大学法学部卒業後、事業法人勤務を経て1995年にPwC入社。2004年より同法人パートナー。不動産会社や金融機関の取引に関するアドバイスの他、不動産証券化、投資ファンド組成等に関する税務コンサルティング中心に従事。Jリートマーケットの創成期より多くのリート組成・運営にかかる税務アドバイスを行う。不動産証券化協会フェロー、同協会監事。アジア不動産協会日本支部役員。主な著書に「投資ストラクチャーの税務」(税務経理協会)等。

    2 / 4【略歴】鬼頭 朱実(きとう・あけみ) PwC税理士法人 パートナー 公認会計士・税理士 京都大学法学部卒業後、事業法人勤務を経て1995年にPwC入社。2004年より同法人パートナー。不動産会社や金融機関の取引に関するアドバイスの他、不動産証券化、投資ファンド組成等に関する税務コンサルティング中心に従事。Jリートマーケットの創成期より多くのリート組成・運営にかかる税務アドバイスを行う。不動産証券化協会フェロー、同協会監事。アジア不動産協会日本支部役員。主な著書に「投資ストラクチャーの税務」(税務経理協会)等。

  • 【略歴】池田 道生(いけだ・みちお) PwCアドバイザリー合同会社 パートナー 東京大学経済学部卒業後、さくら銀行(現三井住友銀行)に入行。2000年PwCアドバイザリーに参画、一貫してクライアントの構造改革、事業再編、M&A、地域開発案件等に取り組む。業界は不動産、都市開発、ホテル・レジャー等を担当。2014~2018年シンガポールオフィス勤務、帰国後も対内・対外投資関連のアドバイスを多数実施。2023年よりPwCアドバイザリーの不動産セクターリーダーを務める。

    3 / 4【略歴】池田 道生(いけだ・みちお) PwCアドバイザリー合同会社 パートナー 東京大学経済学部卒業後、さくら銀行(現三井住友銀行)に入行。2000年PwCアドバイザリーに参画、一貫してクライアントの構造改革、事業再編、M&A、地域開発案件等に取り組む。業界は不動産、都市開発、ホテル・レジャー等を担当。2014~2018年シンガポールオフィス勤務、帰国後も対内・対外投資関連のアドバイスを多数実施。2023年よりPwCアドバイザリーの不動産セクターリーダーを務める。

  • 【略歴】田邉信之(たなべ・のぶゆき)1980年京都大学法学部卒業、日本興業銀行に入行。不動産業界調査、都市開発、事業再編、証券化など多様な不動産金融業務を経験。2009年4月~2022年3月まで宮城大学事業構想学群教授。不動産証券化協会・フェロー・教育資格制度委員長などを務める。国土交通省や自治体などの公職を歴任。現在、企業の顧問、国交省・内閣府「官民連携のための東北ブロックプラットフォーム」座長、宮城県企業局「経営審査委員会」委員長などを務める。

    4 / 4【略歴】田邉信之(たなべ・のぶゆき)1980年京都大学法学部卒業、日本興業銀行に入行。不動産業界調査、都市開発、事業再編、証券化など多様な不動産金融業務を経験。2009年4月~2022年3月まで宮城大学事業構想学群教授。不動産証券化協会・フェロー・教育資格制度委員長などを務める。国土交通省や自治体などの公職を歴任。現在、企業の顧問、国交省・内閣府「官民連携のための東北ブロックプラットフォーム」座長、宮城県企業局「経営審査委員会」委員長などを務める。

国立社会保障・人口問題研究所の「将来推計人口」によれば、2056年に人口が1億人を下回り、70年には8700万人まで落ち込む。世界で類を見ない急速な人口減少は国力の維持に直結する問題だ。社会構造変化による地方の疲弊をどう防ぐには、循環型社会の構築が欠かせない。PwC税理士法人パートナーで公認会計士・税理士の鬼頭朱実氏、PwCアドバイザリー合同会社ハートナーの池田道生氏に聞いた。(聞き手・田邉信之氏)

田邉 御社グループでは多様な業務を手掛けられている。

鬼頭 PwCジャパンでは、主にコンサル、監査、税務、M&A・官民連携などのアドバイザリーのサービスを提供しており、約1万200人の専門家が業務に携わっている。地方創生もアドバイザリーの一環として注力している。

田邉 地方のあり方も個別地域ごとに異なっているのが実態である。御社として地方創生をどのように捉えているか?

池田 地方創生については、地域差があるので「攻め」と「守り」の2つに分けて考える必要があると考えている。
「攻め」に適しているのは、首都圏や海外の新たな需要を取り込むことが期待できる地域だ。首都圏周辺の都市や、沖縄、北海道などが典型例だ。そうした場所では、物流施設やホテルなどが建設されるため、不動産施設そのもので町おこしをすることが可能になる。弊社でも、沖縄離島での開発案件や公共建物の建て替え、空港民営化、スポーツ施設の建設などに協力している事例がある。
比較的大きな都市では、多くの大手デベロッパーなどが、単にある施設を建設するということだけでなく、〝場〟づくりや〝都市とローカルの融合〟、〝コミュニティ造り〟〝施設デザイン〟などにも配慮した開発をしており、これは地域創生に資するものなっていると思う。
一方、地方の小規模都市では、大手デベというよりも〝道の駅〟や〝観光資源の活用〟などのように、地域内ベンチャー的な新たな試みの方がフィットしているように思う。地域内の多様なバックグラウンドを持つ方々が支える仕組みを構築する必要がある。

田邉 人口減少を含めて衰退が見込まれる「守り」の地方の対応が難しいところだ。

池田 そうした地域では大きな成長は難しいが、地方内で循環型社会を構築する方法はある。地産地消の発想と同様だ。特に、地域外へのエネルギー費用の流出が課題である。エネルギー(電気、ガス、ガソリン代)は、地域社会が都心の大手企業へ支払う莫大な固定費であり、それが都心への資金流出となって、地域住民の可処分所得や生活水準を下げる要因のひとつとなっている。
脱炭素社会への対策として取り組まれている高性能住宅「ZEH」(ネット・ゼロ・エネルギーハウス)などの建設は、地域の太陽光などで発電し、地域で消費・循環させるエネルギー自立化につながり、地域創生にも大きく貢献するだろう。また、地域の資金で、発電事業、住宅投資、地域の雇用を生み出し、地域の可処分所得を上げていくことで、地域が豊かになる可能性も高まる。エネルギー効率という意味では、戸建てよりもマンションの建設が望ましいが、地域特性にもよるだろう。
特に地方において、賃貸住宅スペックの選択肢が限定的である現状(廉価版が多く長期居住前提でないなど)がある。これを踏まえると、賃貸住宅の高機能化(ZEH化・自家発電設置等)は、地域住民に対して戸建て・分譲マンション以外の住まいの選択肢をもたらす。また住宅購入という資金負担の軽減の観点からも、地域社会へのベネフィットが見込まれる。
更に、住宅機能の高度化は、住宅の傷みの軽減など物理的な住宅ストックの長寿化(不動産賃貸業としても長寿命化)に繋がり、地域に良質な社会ストックの構築という点でも、長期的なメリットが期待できる。
現状において、既存(賃貸)集合住宅の脱炭素化は、最も現状対応が遅れている分野であり、この賃貸住宅の高機能化(ZEH化・自家発電設置等)に対しては、大胆な政策誘導(住宅性能基準の厳格化・インセンティブなど)を期待したい。

田邉 「守り」の地域では、循環型社会を構築するまでの資金確保が難しいのではない。

鬼頭 脱炭素社会や地域創生が主要テーマとなっている中で、やはり一定の資金を財政で負担することは必要だろう。だが、ドイツのように、地域住民が負担してインフラを構築することも考えられるし、ファンドの資金を一部活用することもできるのではないだろうか。
また、案外知られていないが、「ふるさと納税の企業版」がある。16年(平成28)から寄付型の資金拠出が認められ、20年(令和2)からは人材派遣型も認められるようになった。これによって、企業は実質的に寄付額や人材派遣コストの9割を税額控除によって実質的な負担を軽減しつつ、自らの指定した地域に投資を振り向けることができる。経済的効果としては自治体への寄付に近いものになるので、これとファンドの投資資金を組み合わせることにより、資源循環型の社会を構築することにも役立つのではないか。

池田 「守り」の事例として循環型社会を取り上げたが、デジタルの活用やメーカーの仕様統一によるエネルギーマネジメントの効率化などによって、地域運営のコスト削減、運営効率化も可能だと思う。ただ、人口減少が続く限りは、山間部や郊外地区から居住誘導や空き家対策などを行いコンパクトシティの促進がこれからは更に重要になるだろう。このコンパクトシティ化には、住宅開発という不動産領域だけでなく、エネルギー(発電・蓄電・地域熱供給等)、モビリティ―(EV等)など、従来の産業を超えた連携が必要となるため、こうした方向に向けて、地域をリードしていく人材が不足しているのが課題として残っている。一方、地域の不動産関連の経営者において、不動産に隣接する領域となる、エネルギーをはじめとする住生活関連も含めた領域での投資が活発になることも予想され、新しいビジネス機会があると捉えることも可能。

田邉 地域創生に、国内外の投資資金を活用できないだろうか。

鬼頭 一定の投資収益を見込める地域でなければ、投資資金を呼び込むのはなかなか難しい面があるのも事実だ。だが、ある程度のリスクを取って投資をするという側面では、外資への期待も高い。実際に、リゾートとして発展の見込める場所だけでなく、空港や港湾への投資にも積極的だ。海外では、農業ファンドや森林ファンドもあるので、日本でも仕組みを工夫すれば、そうした分野の投資資金を呼び込むこともできるかもしれない。
ただし、外資の場合は投資の仕組みとして、共同事業性が強い日本法の任意組合では税務の観点から適切ではなく、匿名組合や特定目的会社(資産流動化法に基づくSPC)などが用いられることが多い。このように、投資相手によって、組み方が異なることも知っておく必要がある。
また、これまでは、比較的小型の案件(京町屋のリニューアル、古民家の再生、歴史的保全建築物など)に不動産特定共同事業法に基づく証券化が用いられてきたが、それだけでなく、クラウドファンディングやセキュリティトークン(受益証券を活用した電子媒体による投資)などがかなり普及してきている。これらの手法も有効に活用すれば、案件次第ながら、個人を含めた小規模な資金を集めて更に地方創生に活用することが可能になると思う。
最近は、地域を絞った投資を志向するJ-REITの創設の動きも目立つようになっている。投資資金の利用目的や、誰が投資家であるかをきちんと把握した上で、適切な仕組みを使えば、国内外の資金を地方創生にもっと活用することもできるように思う。

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