不動産取引現場での意外な誤解 賃貸借編189 概括的クリーニング特約は無条件で有効か?
住宅新報 2023年4月11日 号 11面
連載: 不動産取引現場での意外な誤解

Q 前回は、敷金精算に伴うトラブルの解決法の話でしたが、今回は、そのトラブルのもとになる明け渡し時の原状回復義務についてうかがいます。
たとえば、賃貸借契約書に「明け渡しの際には、原状回復費用としてクリーニング代を敷金から控除します」と定められていた場合ですが、貸主はこれを当然のように敷金から差し引くことができるのでしょうか。
A 当然にはできません。なぜならば、平成17年12月16日の最高裁判例で、「賃借人に通常損耗についての原状回復義務が認められるためには、(中略)補修費用を負担することになる通常損耗の範囲が賃貸借契約の条項自体に明記されているか、(中略)賃貸人が口頭により説明し、賃借人がその旨を明確に認識し、それを合意の内容としたものと認められることなどが必要」と判断しているからです。
Q それはおかしいのではないでしょうか。その最高裁の判例は、「クリーニング特約」がない場合の事例だと思いますが、いかがですか。
A その通りです。確かに、最高裁の判例は「特約」がない場合の事例なのですが、その特約があったとしても、そのような概括的な特約では、判例で言っているような当事者の「合意」として認められるものであるかどうかは、「その部屋の使い方がクリーニングをしなければならないような使い方だったのかどうかを、明け渡し時に改めて判断する必要があるのではないか」ということなのです。
Q ということは、実際の明け渡し時にならなければ、判断することができないということなのでしょうか。






















