明海大学不動産学部 不動産の不思議 学生たちの視点と発見 第481回 廃校活用の課題 地域資産活用の試金石に
住宅新報 2023年4月25日 号 4面
【学生の目】
大学の課外授業で大分県玖珠町を訪れた。現地の方に各所を案内していただき、町が抱える空き地・空き家問題や廃中学校の活用方法について意見交換した。
最も印象的だったのは、19年3月に閉校した北山田中学校の姿である。公立小中学校の廃校は全国的な現象である。玖珠町でも生徒数の減少から19年4月に7中学校を統合し、くす星翔中学校を新設した。北山田中学校はその廃校の一つ。全国では、02~20年度に廃校の公立小中学校で、活用用途が未定の1424校の理由を校舎と体育館別にみると(複数回答)、「建物が老朽化している」が最も多く(校舎と体育館の合計1730校、以下同様)、次いで「地域等からの要望がない」(1409校)、「立地条件が悪い」(678校)、「財源が確保できない」(553校)など、需給両面に課題がある(図)。
学校は校舎、体育館、校庭等で構成され、これが民間活用のハードルを高くする側面がある。建築基準法施行令は、一の敷地には一の建築物しか認めず、二以上の建築物を認めるのは用途上不可分のものに限る(一敷地一建築物の原則)。学校として校舎と体育館は用途上不可分といえ、敷地は一でよい。他方、民間利用の場合、複合施設として全体利用しなければ、用途ごとに別敷地とする必要がある。全国の活用用途を見ると、学校(大学を除く)が最も多く72%、次いで社会体育施設32%、社会教育18%である。校舎は引き続き学校として、体育館や校庭は地域住民やスポーツ団体などが社会体育に利用することが多い。北山田中学校も校庭は有料老人ホームに活用するが、校舎は未活用だ。
校舎は1981年建築で、躯体、仕上げ、設備の老朽化も目立つ。法定耐用年数47年まで残り数年間の暫定利用では民間事業者の本格参入は困難だ。他方、長期利用を見据えると大規模改修が必要で多額の費用がかかる。法定耐用年数まで安楽死を待つように見える今の姿は痛々しい。廃校活用を地域活性化の起爆剤にするには費用も必要で、水族館や道の駅に利用する例では地方公共団体が投資した。かつて「学校」として地域の中心であった廃校は、今もたくさんの人の想い出の場所である。無二の地域資産の再生は持続可能社会の試金石で、資金面を含めこれまで以上の理念が求められることを痛感した。[参考文献]文部科学省 令和3年度 公立小中学校等における廃校施設及び余裕教室の使用状況について 令和4年3月30日https://www.mext.go.jp/content/20220331_mxt_sisetujo-000021567_1.pdf
【教員のコメント】
土地を使い続ける点は日本も同じだが、建物が土地の所有権に含まれる英米法の国は、建物も土地の一部として使い続け、それが歴史的建造物や街並みを生み、地域資源になる。堅固、大規模な学校は稀少な建造物で、その価値に光を当てたい。

























