ニュースが分かる! Q&A なぜ〝外断熱〟が再脚光? 老朽化マンションの長寿化策で 補助金が後押しに
住宅新報 2023年3月21日 号 18面
連載: ニュースが分かる!Q&A

先輩記者 最近、外断熱工法が注目されているらしいね。特に老朽化マンションの長寿命化対策で。
後輩記者 外断熱工法? どういうものですか?
先輩 建物の断熱性を高めるために日本で一般的に採用されているのは室内側からの断熱、つまり内断熱工法だよね。それに対して外断熱というのは、建築物を外側から断熱材ですっぽりと覆う工法だ。例えばマンションだと、蓄熱性のあるコンクリート躯体を断熱材で包み込むため、1年を通じて室内の温度差が小さくなり、冷暖房費が抑えられるらしい。
後輩 外側に断熱材があることで外気温に左右されにくいということですね。確かに夏にコンクリートが日差しで蓄熱されると夜になっても室内は暑いし、反対に、寒い冬にコンクリートが冷えきっていると室内で暖房をつけても温まるのに時間がかかります。
先輩 そう。だから室内の温度差が少なくなるというのは、住んでいる人にとってかなり快適らしい。コンクリートも、外気温の変化による膨張・伸縮が抑えられるから、長持ちする。
後輩 いいことばかりですね。でもなぜ、普及していないのでしょう?
先輩 一時期、新築マンションで採用されていたが、内断熱が一般的な日本では、施工時のコスト高がネックで普及には至っていない。でも、ここにきて環境負荷低減や省エネ促進の観点から注目を集めている。特に老朽化マンション対策で採用されているね。
後輩 どういうことでしょう?
先輩 新築時にはピカピカで最新設備が整ったマンションであっても、何十年も経つと、いろいろ不具合が出てくるよね。そうなると、管理組合(居住者)は、どうすると思う?
後輩 大規模修繕するか、建て替えするか…。敷地売却という選択もありますね。
先輩 そう。そこに「外断熱化を含む大規模修繕」が選択肢として加わってきた。例えば、都内のある大型団地では、3回目の大規模修繕の際に、外断熱改修を実施した。
後輩 修繕するにしろ、何にしろ、組合員の合意形成が必要ですよね。これがなかなか難しいと聞きます。
先輩 費用がかかる話だし、いろいろな考えの人がいるからね。いくら事前説明で『外断熱工事をすると快適になる』と伝えても、『この状態で今まで暮らしてこれたのだから、あえて外断熱にしなくてもよい』と考える人もいる。
後輩 その団地はなぜ「外断熱化を含む大規模修繕」を選択し、合意形成できたのでしょうか?
先輩 詳細は省くけれど、費用面でいうと国や自治体の補助金を使えたことが大きい。結果として外断熱工事に要する費用分は賄えることが分かった。それに、今後二十数年先まで修繕に必要な費用を試算したところ、当初の計画よりも外断熱を加えた内容の工事のほうが総額を抑えられることが分かり、合意形成につながったと聞く。外断熱工事をしておくと、その後の外壁塗装の修繕周期を延ばせることが総額低減に寄与したらしい。
後輩 総額を低減できて、かつ快適な暮らしができるならば最高ですね。
先輩 まだ認知度が低いから、当初は半信半疑の人が多いが、実際に暮らし始めると皆その効果を実感し、「外断熱にしてよかった」と口をそろえて言うらしい。
後輩 老朽化マンション対策としては有望ですね。そんなに快適になるならば、所有者が売りに出したとき、相場よりも高く売れるのでしょうか?
先輩 中には相場よりも高値で売れたという話もある。ただ、内装リフォームや設備の更新とは異なり、外断熱改修は完成しても目に見えないため、資産性が伝わりにくい。
後輩 仲介する不動産会社が、外断熱の知識を持ち、購入検討者に適切に説明することが、普及に向けての重要な一歩ですね。
先輩 そう! 市場で評価されるようになれば普及に弾みがつく。省エネの観点からも外断熱工法の普及に注目したいね。






















