物流不動産ビジネス ケーススタディ 定借への切り替え進む 倉庫ドクター・コンサルの現場から 第12回 イーソーコ総合研究所 代表取締役 出村亜希子
住宅新報 2023年3月14日 号 3面

倉庫を所有する物流会社から「先々代から長年貸しているため、契約状況が分からない」「契約内容が古いので見直しをしたい(値上げしたい)」といった相談をもらいます。あるとき、物件の収益を高めるため、昔からの契約により破格の条件で賃貸しているテナントを立ち退きさせたいとの相談がありました。契約内容を確認すると、普通借家契約(普通借)だったため、簡単には解約できない状況でした。ご存じの通り、普通借は借主優位の契約です。貸主は正当事由がなければ解約の申し入れもできず、また、更新時も借主からの更新の意向を拒めません。物流会社はほとほと困ってしまいました。
物流業では、条件のよい荷物があったら、現在入れている荷物を高積みしたり、他の区画に移動したり、他の倉庫へお願いしたり(再寄託)してスペースを生み出すのはごく一般的な行為です。物流企業の中には、テナントを荷物と同じように考えて、安易に普通借で結んでいる事例が多く見られます。荷物は柔軟に出し入れができますが、普通借のテナントはそうはいきません。移転補償や営業補償として高額な立ち退き料が必要になることも少なくありません。
従来の普通借家契約においては種々の課題が指摘され、新たに作られたのが期間を定めた「定期建物賃貸借制度」です。2000年施行でまだ歴史は浅いのですが、現在多数供給されているファンドのマルチテナント型物流不動産は、定期建物賃貸借契約(定借)が基本となっています。契約期間や収益見通しが明確になることから、REIT(不動産投資信託)に組み込みやすく、テナントにとっても合理的な経営判断ができるメリットがあります。






















