資格特集 業務に生かす 資格で稼ぐ 資格に合わせる?マーケットに合わせる?
住宅新報 2023年1月31日 号 9面
選ばれるための付加価値として
多くの住宅・不動産・建築会社は、お客様から自社及び社員の信用・信頼をいち早く得る目的の1つとして、宅地建物取引士(以下・宅建士)やファイナンシャルプランナー(以下・FP)、賃貸不動産経営管理士、建築士、施工管理技士など、業務に直結する資格取得を社員に求めている。
保有資格を名刺に示す戦術は、新規のお客様へ瞬間的なインパクトを与える事が出来る。しかし、同じマーケットの競合他社も似たような戦術をとっていることから、契約先のお客様は名刺を渡してくる各社の差別化を、独自の視点で図っていることが予想される。
例えば、マイホームの販売(建売りを含む)に必要な資格として、「社員には宅建士とともに、建築士の資格取得も勧めている。ボリュームチェックができるから(某不動産会社経営者)」のように、他社との差別化戦術をとっている企業が増えている。
その経営者は、「宅建士の取得とは、業界で仕事をする上での入場券」と捉えているように、お客様から差別化される社員には、選ばれるための〝付加価値〟が必要だと言う。
その付加価値は、お客様基準であって、会社や社員側の基準ではない。その評価基準を満たす努力は、資格に合わせるのではなく、お客様に合わせることで戦略的に大きな差が出る。
資格取得とプロとしての自立(自律)
会社の看板を失っても、「自分はこれができる」と言える土台において、「資格取得」は自身が選んだマーケットで稼ぐ上での〝スタート地点〟ではないだろうか。
マーケットで稼ぐ以上、プロとして会社の看板力がなくても動ける「自立」や、プロとして自分で考える「自律」が求められているからだ。
資格取得は、自身が稼ぐための『戦略』ツールの1つであって、資格を活用する『戦術(付加価値)』を抱き合わせておく必要がある。
マーケット(お客様)から「あなただからお願いする」と選ばれるには、付加価値が求められており、その付加価値は資格取得に向けて習得した専門知識を、お客様との「なじみ会話」→相談→「仮説」→「検証」する時に、お客様基準で活用することから生まれるのではないだろうか。
専門知識を自分基準で発し続けるのではなく、お客様規準に変換する「マインド」が必要である。そのマインドによって信頼を得れば稼げるし、信頼を得られなければ稼げない仕組みだといえる。
午前5時頃に起きて1時間ほど過去問を解いてから朝食を済ませ、職場への通勤中にスマホ(アプリなど)で出題ポイントを学ぶ。また、ランチをしながら過去問を問題集で解く…など、資格取得へ多くの時間を費やしていた(いる)効果が、稼ぐためでなければいったい何のためなのかを検証してみたい。
資格取得で、周りからの評価は上がったかもしないが、稼ぎへの効果は直接的、間接的に見える化されていないのが現状である。
確かに、試験合格という成果は、職業人としての自信にはなる。「試験に合格したいという目標」へ気持ちがブレなかった成果だから、周囲からの評価は低くない。しかし、その資格は誰のために取得したのだろうか。自分のため? 会社のため? お客様のため?…。
資格を取得しても、「何となく働き」「何となく給与をもらえればよい」と、あまり先のことを考えずに毎日を過ごしている場合は、早期に意識の改善が必要ではないだろうか。資格取得時に習得する(された)専門的な知識を「お金を稼ぐため」や「お客様から選ばれるため」に変換する作業は、自らの意思から行うこととなる。
資格知識を使えるように変換することに「ルール・制限・期限」は一切ない。実質、早い者勝ちだ。「このままではほかで通用しない。マズイ」と思った時がチャンスであって、自らのキャリア観の「転換期」となる(図1)。
資格を取得しようと覚悟を決めた初々しい時、取得後の夢を持って取得中(学習中)の時、取得後の達成感や更なる壁にぶち当たっている時など、習得した資格知識をマーケット(現場)で使えるように変換する作業をする工程は様々な場面で出てくるが、「稼ぐための知識基準(知識の活用レベル)」は実務案件に携わらないとなかなか身には付かない。そのためには実務案件を作るマーケット分析が必要だ。
住宅・不動産・建設各社だけではなく、全国の企業(団体含む)は、昭和、平成時代に独自に培った信頼やブランドを生かして、令和時代の今、更なるマーケットの期待に応えるべく事業を行っている。
それだけに有望な人材への育成・配置だけではなく、有望な人材の雇用や配置が、各社共通の事業戦略であり課題とも言われている。
専門分野に強い人を仕事に張り付かせるジョブ型雇用には、人材のスキルを含めた実践力や専門性を正確に把握する仕組み(評価基準)が求められている。
そもそも、今の営業手法や取得済みの資格価値は、いつまで通用するのだろうか。加えて、顧客からの信用・信頼は、いつまで続くのだろうか。このことは住宅・不動産業界だけではなく、様々な業界の現場で問われている現実である(図2)。
日々の訓練で心身を鍛える
仕事を通じて「稼ぐ」ためには、「案件」を作り続けなければならない。
案件を作るには、お客様が「聞きたい」話をしなければならないし、また、そのためには、お客様の気がかりや悩み事に仮説を立てて真摯に聞き出す〝センス・マインド〟が求められる。
同時に、自身が働く環境の変化や働いている会社の競合先の動きを、常にチェックしておく必要がある。更には、働いている会社で、「自分は何をどこまでするのか」を、自分の強み弱みを分析して現実的・具体的にブラッシュアップする必要もある。
稼ぐためには、お金を払ってくださるお客様が求めるサービス(それ以上が望ましい)を的確に提供することが求められており、単純ミスや低レベルのスキルや技能は望まれていないため、徹底した〝プロフェッショナル〟としての知識のほか、技能、マインドを、日々の厳しい訓練や修養で積み上げる心身を強く鍛えるモチベーションが求められる。
























