新時代に跳ねる! 「場の提供者」不動産業に熱視線 地域価値の〝共創〟担う 「課題克服」へ制度設計も視野に
住宅新報 2023年1月3日 号 29面
ストック管理、金融が論点
22年10月に始まった第3シーズンは「共創」に向けた課題克服が大きなテーマだ。これまでの実地調査で得られた制度や金融の課題、コミュニティ財産の残し方などについて深掘りし、実効性のある制度設計の道を探る。23年3月をめどに、議論の総括と提言のとりまとめを目指している。
峰村浩司不動産・建設経済局参事官は、〝場の提供者〟である不動産業者の役割の重要性を示した上で、未来に関わる3つの論点として、(1)コミュニティ財としての空き家等の管理・活用、(2)築年数の古い建築物の活用の円滑化、(3)多様なファイナンスの活用――を挙げる。まず、コミュニティ財の管理・活用については、「Web3.0と不動産業・不動産管理業」(22年10月13日開催)の議論が関係する。事務局からは共助・共創を支える仕組みとして一般財団・社団法人、認可地縁団体による共同管理、コモンズ協定制度などを紹介。加えて、不動産賃貸業の新形態として、サブリース事業によってまちやエリアの再生・活性化を目指す「賃貸業3.0」の動きも見られる点を指摘している。
技術の進展に伴う新たな展開として、ブロックチェーン技術を活用したDAO(分散型自律組織)の不動産活用なども注目テーマだ。これは組織の理念の賛同者が意思決定に関与できる機能を持つガバナンストークンを保有し、組織運営に参画するというもの。物件をオーナーが単体で管理するのではなく、入居者および出資者が自律的に運営に関与するのが特徴となる。例えば、「入りやすくて出やすいシェアハウス」の実現を目指し、東京・神楽坂でDAO型シェアハウスプロジェクトを展開する巻組(宮城県石巻市、渡邊享子社長)の場合、その取り組みから、前払式支払手段を活用することで運営資金を事前入手できる点や価値向上に取り組む関係者が拡大する可能性を示す。同プロジェクトに関わるガイアックスの廣渡裕介DAO事業開発マネージャーもまた、「NFTを持つ90%の人がこの物件に住まない人。彼らが家賃分を払いながらコミュニティを盛り上げている」と述べ、多くの資金調達の可能性がある点を指摘している。中央集権ではないという特性によって、当事者同士が不動産課題の解決策を探る新たな管理設計につながる可能性が示された例だ。
築古活用へ投資評価の拡充を
まちづくりへの〝共感〟を可視化し、新たなファイナンスの手法として確立することも同研究会立ち上げ時からの懸案事項だ。昨年11月24日に開かれた会合のテーマは「古い建築物の活用の円滑化」と「多様なファイナンス」について。研究会一行は11月上旬に京都視察を行っており、京都市における京町家の保全に関する支援制度をはじめ、京町家の価値を評価した「京町家カルテ」事業が地元の金融機関からの融資で一定の担保価値を担っている点などが共有された。
「参加型まちづくり」の仕掛けやルールを提供するエンジョイワークスの福田和則代表取締役は、現在の取り組みが〝育てるまちづくり〟のステージに入ったと明言。「公的規制(ハードロー)による法的な拘束力よりも、自主的規制や地域ルールなど民間発意のソフトローが必要になる」と説明し、短期的にクラウドファンディングで支援を募る形ではなく、伴走型で共に事業に参画していく形をつくる重要性を示した。福田氏は更に、現地見学会等の参加者たちの行動データを「共感スコア」として集積し、各プロジェクトで指標化する取り組みを披露し、今後の広がりに期待を集めた。
また、遊休資産を活用したキャンピング場運営等を手掛けるVILLAGE INCの橋村和徳代表取締役社長も、まちなか再生のヒントを示す。例えば、福岡県の現役の酒蔵内にある築100年の古民家を宿泊施設に改修したケースでは、同宿を起点に、近隣の複数施設を活用して街角ホテルに見立てるエリアプロデュースの強みを紹介。他方で、「チャンスに対してファイナンスが追い付かないという点が大きな課題。働きたいという人材もいるが、受け入れられる企業体力がない」と課題を指摘する。
同研究会にご意見番としてレギュラー参加するコアアドバイザー陣からも「個人信用力の低い事業家が、更に資産価値の低い不動産を使って事業化していくとき、京町家カルテのような評価の仕組みが重要になる」や「コミュニティ財として残すべき不動産を守るための評価軸が必要。取り組みの共感を社会的信用力として評価し、信用金庫のファイナンスがつけられないか」との指摘がなされている。
なお、同省では今年度、不動産事業者等の参画、地域の「共創」促進の仕組みづくりとして「不動産業アワード」を創設した。新たな地域価値を共創する不動産業者・不動産管理業者等を表彰する制度として、(1)低未利用不動産の有効活用、(2)中心市街地・農村活性化、(3)居住・生活支援、(4)安全・安心、(5)イノベーション、(6)担い手育成――の部門で募集を行い、現在審査中だ。3月中を予定する表彰式と併せ、更なる取り組みの広がりに注目していきたい。

























