新時代に跳ねる! シェアハウスにニーズ復調の兆し 物件再生の選択肢で存在感 〝賃料抑制〟以外の強みで訴求
住宅新報 2023年1月3日 号 28面
不動産企画やコモンスペース運営などを手掛けるエヌキューテンゴ(東京都杉並区、齊藤志野歩代表)は22年11月、東京都八王子市でシェアハウスを中心とした「八王子天神町OMOYA」プロジェクトの運営を開始した。
空き家となっていた築50年超の戸建て住宅(木造2階建て)をリノベーションし、3住戸のシェアハウスとして再生。同時に、隣接する敷地の既存木造アパートも同プロジェクトの一部と位置付け、両棟の住人が共用スペースを日常的に利用できる仕組みとした。
更に、共用スペースについては両棟の居住者だけでなく、「OMOYA」にメンバー登録した人も利用可能としている。メンバー間や居住者との交流のほか、イベントの企画なども想定しており、共同住宅としてだけでなく、地域交流の拠点としての機能も持たせている物件だ。同社は15年から、こうした賃貸住宅の共用スペースをメンバー制で活用する試みを行っているが、コロナ禍においても勝算を見いだしたことで今回新たな事業の立ち上げに至ったと考えられる。
コロナ禍以前には、不動産投資物件の一形態としての新規開発がシェアハウスの主なイメージの一つだったと言える。ある意味で〝投資用アパート〟の商品バリエーションの一部でもあり、個人投資家向けにサブリースと組み合わせたスキームで急拡大したこともまだ記憶に新しいのではないか。
その後、社会的な問題点などもクローズアップされ、コロナ禍の逆風もあって勢いを減じた物件形態ながら、最近ではそういったコンセプトとは異なるシェアハウスが散見されるようになっている。特に、「八王子天神町OMOYA」のように、「既存物件再生」や「(地域)コミュニティ形成」を主軸とした事例が活発だ。
社員寮の転用に好適
23年1月7日には、彩ファクトリー(神奈川県海老名市、内野匡裕社長)が神奈川県横浜市で〝猫シェアハウス〟「にゃんこの森横浜」を開業する。猫の飼育はもちろん、猫好きの入居者同士によるコミュニティの醸成も念頭に置いたシェアハウスで、内野社長によると、情報公開後の反響は良好。22年12月21日時点の入居予約数は全29室中20室となっている。
同物件も、建物自体は既存物件を活用したものだ。利用されなくなった郊外の社員寮を、物件オーナーからの依頼を受けて、新たな企画によるコンセプトシェアハウスとしてリノベーションした。通常の賃貸住宅としては再活用が難しい社員寮を、建て替えることなく再生させる手法として、シェアハウスは最適な用途だという。
入居者の抵抗も薄くなってきている様子で、「コロナの脅威が深刻だった時期と比べ、毒性の弱体化や感染対策の浸透などにより、現在では(コロナは)ほぼ支障となっておらず、コロナ禍以前よりもニーズが高まっている様子もある」と内野社長は話す。
とはいえ、ただ建物を刷新するだけでは、「新築・好立地」の物件と比較して、入居者に選ばれる賃貸物件となることは依然として難しい。そこで各社とも、「シェアハウスに入居するメリット」の創出に力を入れているという構図だ。
ボーダレスハウス(東京都新宿区、李成一社長)は日本と韓国、台湾で〝国際交流シェアハウス〟を運営しており、23年1月に独自の英会話特化型滞在プログラムの第3期募集を開始。シェアハウスを国際交流や語学力向上の舞台として活用してもらう事業で、一定のニーズと支持を集めている様子だ。
これらの事例のように、シェアハウスは〝コミュニティ〟や〝体験〟と組み合わせることで特色を訴求しやすいという強みがあり、そうした部分を効果的に活用した物件の事例は増えている。同時に、通常の賃貸物件と比べて高い企画力を備えていなければ、競争力を持たせにくい物件形態でもある。今後も一定のニーズは見込まれているものの、それを商機とするためには、高水準な企画力が求められることは間違いなさそうだ。

























