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スタンダード会員限定新時代に跳ねる! 売買仲介現場、徐々に向かい風 中古住宅は高根の花に 成約数に大幅下落の気配 〝実需無視の価格水準〟で分断市場

住宅新報 2023年1月3日 号 27面

総合
新時代に跳ねる! 売買仲介現場、徐々に向かい風 中古住宅は高根の花に 成約数に大幅下落の気配 〝実需無視の価格水準〟で分断市場

10年比で8割高に

 昨年の後半から「実需向けの中古住宅の動きが鈍くなっている」「たとえ低金利下でも販売価格は給料との見合いで手が出せない」といった声が販売現場などから聞かれる。不動産流通経営協会(FRK)の調査によれば、住み替えによる自宅の売却で売却益が出ている世帯が増えている。首都圏で22年3月末までの1年間に購入した住宅の引き渡しを受けた世帯を対象に実施したもので、現在の住宅に住み替えた355世帯のうち、67%に当たる238世帯が前に住んでいた住宅を売却した。うち購入額と売却額でプラスの売却差益が発生している世帯は58.4%(前年度比20.9ポイント増)と6割近くに達する。

 この売却差益、つまり、もうけを見ると、「0円超~500万円」(22.0%)が最も多く、「500万円~1千万円」(15.0%)と「1千万円~2千万円」(13.1%)と続いた。

 一方、売却損が発生した世帯の平均売却差額は前年度から縮小傾向。平均マイナス987.4万円(前年度マイナス1028.1万円)となった。無論、築年数が古いほど売却損の割合は高くなるが、全築年帯で21年度よりも売却損になる世帯が減っている。

 国土交通省の不動産価格指数をみると、マンション価格は上がり続けている。10年を100とすると、22年は約180に達している。10年以上前から8割高ということだ。過度な節税に待ったも

 都心や東京23区などの大都市の好立地マンションほど高値が付く背景には、投資目的の買いが値段を引き上げていることが大きい。好立地であれば安定した家賃収入が得られることから借入金を活用した、いわゆるレバレッジを効かせて不動産を買い上げる。

 節税対策では、固定資産税や建物の減価償却費などを計上し、家賃収入を上回る赤字となれば所得税の納税額も減らせる。相続税も抑えやすい。高額所得者や富裕層はタワーマンションなどを活用するケースが多い。ただ、政府・与党は高額物件などを活用して過度に相続税を節税することを防ぐ検討に入った。昨年4月には、相続した賃貸マンションの評価額が低すぎると国税庁が追徴課税し、それを最高裁が適法として認めた。23年中にも評価方法を変更する公算が大きく、23年以降、タワマン人気に影響を与える可能性が出てきた。

債務不履行は可能性低い

 23年以降の着目点としては、購買意欲が続くのか、という観点に尽きる。東京カンテイでは、購入物件が所得の何倍に当たるかを「年収倍率」として調べている。昨年10月に21年の新築マンションと中古マンションの年収倍率を算出したところ、築10年の中古は全国ベースで初めて6倍台に達した。東京都では13倍を超えている。「まさしく高根の花に達している」(30代男性)。全国の平均年収は454万円、東京都は570万円であることから考えれば住宅を購入することを諦めた人が出てきても驚きはない。

 住宅ローンを束ねて証券化商品として機関投資家に販売する住宅ローン担保証券(RMBS)は、経済環境の悪化によりローンの借り手が資金難に陥った際にローンの買い戻しが増えるのが一般的である。格付け会社のムーディーズ・ジャパンによれば、日本の場合は、ローンの条件変更を行うケースが多いが、そのときには、ローンを証券化ポートフォリオから買い戻すことが条項として定められているためだと説明する。

 ただ、世界金融危機など過去に信用市場が著しく悪化した中でもローンの延滞率と貸し倒れ率は低い水準で維持され、今後も同様に推移するとの見立てが専門家の間では支配的である。その背景には、正規社員で安定した収入を得ている信用力の高い借り手の住宅ローンが中心であることも大きい。

コロナ倒産が増加中

 一方で、新型コロナ関連倒産は増えている。帝国データバンクによれば、昨年11月に150件の倒産があり、同12月5日時点で全国のコロナ倒産は累計4644件に上っている。予断は許さない。特に飲食店や建設・工事業、食品卸、食品小売が多く、観光業関連も倒産が相次ぐ。

 世界は分断の危機にあるとされるが、日本の実需ベースにも当てはまるキーワードだ。住宅を購入できる人と購入したくてもできない人との分断市場が形成されている。人が生活するために必要な住宅が、富裕層や高額所得者の取引活発により一般サラリーマン世帯の求める住宅価格に影響している。価格は需給バランスで決まるもので、住宅を持つことを諦めて成約数が減り続ければ価格は下落に転ずる。実需を無視した価格を調整できるかどうか。売主のなるべく高く売りたいという意識も相場以上の欲が続けば23年の成約件数は大きく落ち込む可能性がありそうだ。既にその兆候は出ている。

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