「令和時代の賃貸ビジネス」 ~コンサルタント沖野元の視点~ 第15回 戸建て賃貸のデメリットとリスク
住宅新報 2022年12月20日 号 14面

前回のコラムでは2週にわたって戸建て賃貸の優位性やメリットを述べた。今回はオーナーや管理会社にとってのデメリットやリスクについて、複数の戸建て賃貸を管理してきた経験からお伝えしたい。
まずは入居者目線のお話だが、前回は戸建て賃貸のメリットで、集合住宅のような上階の足音や隣室の騒音に悩まされることはないということを書いた。しかし、一般的な戸建ては木造であることが多く、道路に面していれば車の音は集合住宅以上に聞こえる。物件によってはトラックが通るたびに振動するものもある。閑静な住宅街であっても目の前を人が話しながら歩くとそれもやはり聞こえてくる。これは逆に戸建ての室内で大きな声で話していると通りに聞こえるということでもある。戸建ては戸建てなりの音の問題があるということである。
戸建てだと外からの目線も集合住宅より直接的になる。管理する戸建てに南道路で南向きの日当たりの良いものがあるが、塀が低いため通りからはリビングが丸見えになる。その対策として植栽を植えて外からの視線を遮り、入居者のプライバシーを保っているものがある。
続いてオーナーや管理業者の立場として知っておくべきリスクとして、戸建ては災害に弱いことが挙げられる。かつて20年9月の台風では関東を中心に広範囲に被害が出たが、住宅被害では千葉県が最も多かった。テレビでご覧になった方も多いかと思うが、屋根の瓦が剝がれ、窓ガラスが割られた多くの戸建てにブルーシートが張られていて、ヘリコプターからの取材映像ではブルーシートだらけになっている様子が見て取れた。
また、やはり管理していた戸建てでネズミの被害に悩まされたものがある。シロアリも出る。軒裏に鳩が住み着いたケースもあれば、スズメバチの巣ができたこともあった。とにかくこれでもかというくらいのトラブルを経験した。こうしたトラブルの多くはおそらく鉄筋コンクリート造の賃貸マンションでは起こらないであろう。これが木造の特に築古の戸建てを賃貸する場合のリスクと言える。オーナーや管理業者はこれらのトラブルのリスクを想定して戸建て賃貸を取り扱わなければならない。これらは賃貸する前の物件の状態にも大きく左右される。これは貸し方によるのだが、あまり手をかけずに相場より安い賃料で貸すか、それとも事前に予想されるトラブルにリフォームなどでしっかりと対策をした上で、相応の賃料で貸すかである。いずれも借り手は付くだろうが、手をかけなかった物件についてはトラブル時に相応の費用が掛かることが予想される。
次回は戸建て賃貸の売却時に気を付けるべき点について解説したい。
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【プロフィール】
おきの・げん 日大大学院修了。不動産コンサルタント兼不動産系研究者。不動産実務検定講師。リーシングジャパン代表取締役。執筆・講演多数。






















