物流不動産ビジネス ケーススタディ 倉庫ドクター・コンサルの現場から イーソーコ総合研究所 代表取締役 出村亜希子 第9回 二刀流のマスターリース
住宅新報 2022年12月20日 号 3面

賃貸倉庫では、第三者への転貸を目的としてオーナーから物件を賃借するマスターリースが珍しくありません。それには理由があります。以前は、倉庫の賃貸自体が一般的ではありませんでした。空間を収益化する点では共通する「倉庫業」と「不動産業」ですが、元々の考え方、契約形態は大きく異なります。それが、2001年の省庁再編で共に国土交通省の管轄になり、物流に不動産の考え方が入ってきました。
変化する物流への対応と収益の多様化の観点から、多くの倉庫業者が荷主から荷物を預かり保管する事業だけでなく、倉庫の一部を賃貸する不動産事業も行うようになりました。テナントに賃貸借契約でスペースを貸しつつ、保管や配送などの物流は倉庫会社が請け負うといった、賃貸借契約と寄託契約のハイブリッドも増えています。
なぜ直接賃貸ではなく、マスターリースなのでしょうか。理由は二つです。一つは、貸主である倉庫業者のリスク低減のため。これまで物流専業だった倉庫業者にとって賃貸事業は全くの異業種です。不動産の対応では、家賃滞納、賃料の値下げ、建物の不具合、原状回復のトラブルなど、様々なリスクがあり、必要なスキルも異なります。テナントとの間に賃貸に長けたマスターリーサーを挟むことで、こうしたリスクを低減しつつ、安定した賃料収益を得られます。






















